今日、様々な場面でデジタルデータの活用は進んでおり、現代ビジネスにとって必要不可欠なものになりつつあります。
政府もDX化( デジタルトランスフォーメーション )を本格化させるといった具合です。
今回は、このDX時代という時代の変化に付き合っていくため、以下の4点を中心に最強メソッドを伝授していきます。
- その定義と時代性
- 氾濫する近似概念との整理と関係性
- DX推進事例
- DX時代に即応するためのメソッド、スキル
最後まで目を通していただいて皆さまの日常の糧となれば幸いです。
「今はDX時代らしい……」DXとは?わかりやすく読み方から教えて
今はDXの時代と言われています。まずは「いろは」からわかりやすく見ていくことにしましょう。
DXとはデジタルトランスフォーメーション
DXとは、デジタルトランスフォーメーション( digital transformation )の略となります。
単に「 デジタル 」と「 トランスフォーメーション 」を結合させたビジネス用語です。DXの詳しい意味についてはこちらの記事を参照してください。
関連記事:DXの意味|ITやデジタルとの違いや成功事例・ポイント
DXという単語の流行自体は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授による自著論文での使用が最初であると言われています。
別のところでは、2000年発行のキーヤー・パテル氏によるビジネス書での使用が最初とも。
DXの定義とは
DXとともに、先に挙げたデジタル化とIT化はこの数十年起きている情報革命の中核とされ、これらを総称して『 第4次産業革命来る 』と扇情的に語ることも間々あります。しかし、デジタル化とは要は電子化であり、IT化とは通信技術の発達のことです。
DXを正しく理解するために、ここで偉い人たちのDXの定義を引用することとしましょう。
まずは、世界企業でもあるマーケティング・リサーチのガートナー社からそのシンプルな至言を引用しましょう。
“Digital business transformation is the process of exploiting digital technologies and supporting capabilities to create a robust new digital business model.
( デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を最大限活用し、壮健で新たなデジタルビジネスモデルを創出する能力を支援するプロセスのことである )”
( 引用:https://www.gartner.com/en/information-technology/glossary/digital-business-transformation )
他方、前述したスウェーデンのエリック・ストルターマン教授の定義も引用しましょう。
“The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or influences in all aspects of human life.
( デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術が人類の生活のあらゆる局面に引き起こしたり、影響したりする変化そのものとして理解されうる。)”
( 引用: INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE Erik Stolterman )
“The position is also framed around an empirical and theoretical understanding of the evolving technology that we label the digital transformation in which an appreciation of aeshetic experience is regarded to be a focal methodological concept.
( この論文の立場は、進化するテクノロジーの実証的かつ理論的理解を中心に構成するものである。その理解とは、デジタルトランスフォーメーションにおいて美的経験の評価こそ焦点たりうる方法論的概念であるとし、それをもってデジタルフォーメーションと銘打つものであるというものだ。)“
( 引用:INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE Erik Stolterman )
あまねく言えるのは、デジタルトランスフォーメーションとは単純なるデジタル化を指すのではなく、デジタル化を手段としてその先の目的のために組織やビジネス全体を変革させ続けるプロセスのことを指します。
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DXは本当に注目されているのか?
変革し続けることを要求するDXなる新概念は、変わり続ける世界で生き続けるには必要なことかもしれません。しかし、その変革を好まない人々も大勢いるのです。
必要性に駆られてなければ、DX普及にはつながりません。かつて、スティーブ・ジョブズはPC普及において文化や教育を掲げ、ビル・ゲイツは業務の効率化や一般化を掲げることで汎用OSを頒布させることに成功したのです。
しかし、とどのつまり両者ともにPC好きが楽できるデジタルツールを売ったに過ぎません。この公共性に富んだ言い訳的な時代の要請こそ人々が新概念や新手法に対応するために必要なこととなります。
このDXの場合はどうでしょうか。そもそもデジタル化、IT化を駆使したビジネス手法として理解することが一般的です。
むしろこのDXそのものが組織や個人において、さらにデジタル化、IT化させるための公共性の高いものとして受けとるのがベターでしょう。
例えば、GPSや電子決済を前提としたサービスはIT化、デジタル化の一端でしかありませんけれど、これらを表わすようにDXの昨今の市場規模は堅調に推移していると言われています。
ガートナーと同じくマーケティング・リサーチの世界的企業であるIDC JAPAN株式会社によれば、2019年の国内における通称「 第3のプラットフォーム市場 」を16兆3,307億円、前年比6.5%の成長と発表しています。
今後数年7%程度の成長率を見込んでおり、市場におけるプラットフォーム活用を駆使したDXの存在感と価値普及は拡大すると見ています。( IDC「 最新の国内第3のプラットフォーム市場予測を発表 」 )
日本の名目GDPが約5兆ドル、同じく日本政府の国家予算が300兆円、トヨタ売上高が30兆円ほどで推移し、ユニクロ売上高が2兆円程度で推移しています。ちなみに成長率7%というのは、中国のGDP成長率と同程度です。
ということで16兆円という数字を理解できたのではないでしょうか。さらにいうと、国内コンテンツ市場が10兆円程度( 経済産業省「 コンテンツの世界市場・日本市場の外観 」です。
DXはデジタル化、IT化と違うのか?時代を象徴するワードの区別がつかない
デジタル化やIT化、DX化といった情報革命周辺のワードが多すぎては混乱してしまいます。他にも、IOT( internet of things )や、ICT( internet and communication technology )という言葉もあります。
ちなみに、デジタル化は英語でデジタイゼーション( digitization )と言いますが、これと似た言葉でデジタライゼーション( digitalization )なる言葉も存在しています。
もうこうなってしまっては大変です。こうしたワードを理解して初めて、DX理解とDX対応へつながるのです。
デジタル化は時代の前提なのである
この数十年によく耳にする『 デジタル化 』に関しては、言わずもがなでしょう。『 デジタル化 』はコンピュータの発展ともに起こった『 既存のアナログ情報のデジタル変換 』を指します。
それまでの情報は、紙、レコード、フィルムのようにアナログ媒体に記録されていました。これを2進法化された数列に変換して、電子デバイス上で再構成させます。
これにより演算、記録集積などの処理が向上され、業務の効率化が図られてきました。
この『 デジタル化 』はコンピュータ黎明期から現在に至るまで各種分野で進められており、技術そのものです。DX時代の礎であり、前提と言っていいでしょう。
IT化から始まる、ヒト、企業、ビジネスの結びつき
この『 デジタル化 』とともに時代の花形的ワードであるのが、ご存知『 IT化 』です。インフォメーションテクノロジー、情報技術とは、コンピュータ間を通信技術であるインターネットでつなぐことです。
これを進めていくのが『 IT化 』になります。これにより、ヒト、企業、ビジネス間においてデジタル化された情報が送受信され、情報や認識の共有が図られることになりました。
IoTとDX、この概念の整理こそDX時代最強の企業戦士への橋頭堡
次いでよく聞くのが『 IoT 』 です。正式には、Internet of Things、モノのインターネットを指します。
それまでヒト間での送受信であった情報のやり取りの有り様をモノそのものの間でさせることです。
センサーやデバイスからの通信を利用者側のアプリケーションが取得し、その情報を瞬時に視認性の高い状態で把握させます。
デジタル化とIT化により結実された昨今、進められるビジネス上でのムーブメントでもあります。
このIoTは業務に利用されるスキームです。これをさらに推し進めてビジネスモデル全体、組織全体、社会全体にそのスキームとその効果を及ぼさせることこそ、DXとなります。
このDXは、デジタル化、IT化、IOTを駆使して連鎖的にスキームを変革させ続ける一種の社会変革でもあります。
DX推進の要とは?わかりやすく事例で教えてくれいないと嫌だ
これまで概念の整理に重点をおいて参りました。これからは、わかりやすくい事例を挙げていきましょう。
時代の象徴GAFA、そのなかのAmazonに見るDX推進事例
GAFAという言葉を聞いたことがあるでしょうか。時代を代表するITの巨人であるGoogle、Apple、Facebook、Amazonの略称です。このなかで、世界最大のECサイトAmazonを最初の例にとって見ましょう。
Amazonのビジネスモデルにおける特徴的な点は、第一にその薄利多売戦略でしょう。ギリギリの営業利益まで低価格戦術を採用し続けており、それは商品の価格にも見られます。
出品者の設定価格との連動、売れ行き、最安値に合わせ変動するこの仕組みは自動化されており、IoTの一部となっています。
もうひとつの特徴が迅速な配送と緻密な物流システムです。
予め巨大な物流倉庫に大量の商品が緻密に、かつ適当に通信端末により登録、配置、記録されます。それらがユーザーの購入からすぐさまインターネットを介して選び出され、配送されていきます。
近年では、生鮮食品の配送や配送の進捗状況まで確認できるようにもなっている。これらすべてデジタル、IT、IoTの組み合わせにより出来上がった、DXそのものでしょう。
この他にも、Amazonの本懐とも言うべきKindleもまたその例と言えるでしょう。
PCやスマートフォンで購入された電子書籍がクラウドを介して所有のKindle端末にダウンロード可能というストレスレスでスムーズな有り様は、kindleならではの特徴でしょう。
また、クラウドサービスであるAWS( アマゾンウェブサービス )もその特徴が顕著です。
自らが構築し所有する巨大なサーバー網を活用してサーバーのレンタルを行っているのですが、これが今非常に人気沸騰中で、クラウドサービス市場において断トツの一位を獲得しています。
いつの間にかAmazonの主要事業にのし上がりました。特徴は価格の安さと、事業用途を想定した多様なラインナップを用意している点です。
クラウドを活用した遠隔地拠点間での情報共有と分析やリスク管理をストレスレスに実現した近年の逸品とも言えます。
アナログには不得手な難攻不落の要塞「 サーバーまわり 」を手軽で身近な業務改善手段へと変貌させてしまいました。これぞDXです。
GAFAとか大きすぎるんだよ。配車サービスに見る個が繋がるDX事例
流石にGAFAは大きすぎます。最近の日本人にナウでビビットなDX例があります。Uberです。
Uberの本来の事業は配車事業です。利用者と配車をGPSで把握して、すぐさま身近なドライバーを手配し、駆けつけさせ、目的地へとスムーズに誘導させる。これもまたDXです。
GPS、決済、関係性……、DX時代では現場が半仮想化し有機的に相互反応する
総じてDXでは、スマートフォンやタブレットなどの各端末と管理者側の端末がインターネットでつながり、GPS、電子決済などにより相互に反応して新たな関係性と業務を生み出しています。
アナログな感覚で把握されていた各業務がデジタル的に視認化され、現実、いやアナログな現場の半仮想化、バーチャル化がされているのです。
関連記事:DX( デジタルトランスフォーメーション )の成功事例を7つご紹介!
DX時代に即応するためのメソッドとは?
DXに対応した組織づくりとは
それではDXに対応した組織づくりとは何でしょうか。DXはデジタル化、IT化、IOT化の蓄積と活用の果てにあるものであり、技術そのものに終わらず、ビジネスモデルそのもの転換を成します。
ですから、必然的に組織もそのネットワーク化、半仮想化されたスキームに対応することとなります
そうなると、店員、営業マン、拠点の中間管理職が必要なくなることとなり、反比例して、必須技術習得者と、そのリテラシーを所有した人材を必要とし、組織全体はトップダウンでありながら、網の目状になります。
DX時代の人材になるための必要なスキル
この静かなる第4次産業革命の一局面DX時代に必要なのは、ビジネスと組織の変質に対応することにほかなりません。
- 企業のビジネスに対応したデジタル技術
往々にしてデジタル化された技術が底流に流れています。プログラミング技術を始めとした、それぞれの企業のビジネスに対応したデジタル技術を理解、習得することも必要です。
- ITリテラシー
一般的なITへの理解力はもちろんのこと、数値化、視認化されるデータの分析能力が求められ、バーチャル化した現場で何が起きたのかを認識する必要が求められます。
- データの向こう側で見えないバグ、事情、課題の抽出と解決
さらに、バーチャル化されたデータは多くの情報が良くも悪くも捨象されたものとなります。
それまでアナログな実際の感覚で処理されていた直感的な理解の裏に隠された事情や、ユーザーの個々の動機など、データの向こう側で見えづらくなった事業が、苦情、トラブル、バグ、課題として表出することとなります。
これら時として感情的な問題に中央の管理者が対処し、それをまたITやIoTで解決していくことが次のDX的現象を生み出すこととなります。
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まとめ DX時代の課題はその最大の長所に潜むアナログな肉体感覚の本格的な変質である
このように、今まさに迫りくるDX時代の課題は、その最大の長所にあります。通信を駆使し、アナログな感覚で処理されていたユーザーや事業者側の決断がデジタル化され、半仮想化されていきます。
これは視認性や効率性の向上のみならず、分析しやすさを呼び込むものであり、良いことづくめです。
しかし、「 できている 」「 売れている 」という感覚の裏に隠されていたアナログな肉体感覚が変質していくことにもなります。
数字や文字データが圧倒し、それにより決定や感情が形成されていくこと。これこそDX時代の長所であり、課題となるでしょう。