ウェブサイトの訪問数を増やすためには、Googleやyahoo!の検索結果からユーザーに訪れてもらう必要があります。そこで、「 SEOとリスティング広告ってどう使い分けたらいいの? 」「 それぞれどういう役割があるの? 」などと、疑問を持たれている方も少なくないのではないでしょうか。
簡単に説明すると、検索順位を上げるための施策が「 SEO 」で、検索結果の上部に出稿するのが「 リスティング広告 」です。
結論から言いますと、2つは全く別物ですので、どちらの方が良いというわけではありません。それぞれのケースに応じて両者を上手く使い分けることによって、アクセス数を伸ばすことができます。
本記事では、SEOとリスティング広告の基礎知識や違いを初心者でも分かりやすく解説しています。また、運営するウェブサイトのパターンごとでおすすめの方法も紹介していますので、ぜひご覧ください。
SEOとは?
SEO対策( SEO )とは、「 サーチエンジン最適化( Search Engine Optimization ) 」のことを言います。これは、ユーザーが検索エンジンを利用して検索した時に、サイトが上位に表示されるように改善することを指しています。
もう少し分かりやすく言うと、Googleやyahoo!などの検索エンジンに高く評価されるよう、ウェブサイトの品質を上げるために施策を打つことを「 SEO対策 」といいます。
リスティング広告と比較した時のSEOの特徴は下記の4点です。
・コンテンツ制作に人件費はかかるものの、広告とは違って無料で施策を打つことができる
・対策をしてから効果が出る( 検索結果の順位が上がる )まで時間がかかる
・広告よりもクリック率が高く、上位に表示されることで安定した集客が見込める
・広告とは違い他のウェブサイトの動向も順位に影響するため絶対に順位が上がるとは言えない
まとめると、効果が出るまでに時間がかかってしまうという面はあるものの、リスティング広告に比べるとクリック率は高いので、上位に表示できるようになれば、かなりの恩恵を受けることができます。
関連記事:【完全版】SEOとは?基礎知識から対策方法まで分りやすく解説
リスティング広告とは?
リスティング広告とは、検索エンジンでユーザーが検索したキーワード( 検索語句 )に連動して検索結果に掲載する広告のことを指します。日本ではGoogle広告やyahoo!広告が主流で、「 検索連動型広告( 検索広告 )」や「 PPC( Pay Per Click )」とも呼ばれ、広告がクリックされると費用が発生する仕組みになっています。それぞれについて、もう少し詳しく説明します。
<リスティング広告①>Google AdWords( グーグル・アドワーズ )
日本国内だけでなく世界で見ても検索エンジンシェア1位はGoogleです。そして、そのGoogleが運営するリスティング広告がGoogle AdWords( グーグル・アドワーズ )です。シェア率が圧倒的1位なGoogleが運営しているということからも、広告を目にするユーザー数は非常に多いと言えます。
それだけでなく、アドワーズから出した広告はGoogle内で留まらず、ライブドア、goo、BIGLOBEなどの提携サイトにも広告として掲載されるため、とても広い範囲に広告を打ち出すことができるのも魅力です。管理機能もしっかりと整っているため安心です。
<リスティング広告②>Yahoo!プロモーション広告
日本国内でGoogleに次ぐシェア率を誇るのがYahoo!です。Yahoo!の検索結果として広告を表示させたい場合は、Yahoo!が運営しているYahoo!プロモーション広告を利用しましょう。
こちらも、Yahoo!の検索結果だけでなく、Yahoo! JAPAN( 検索ではなく情報ポータルサイト )、Ameba、bing、@nifty、exciteなどの提携サイトにも広告を表示させることが可能です。
「 でも結局、シェア率No.1のGoogleの運営するリスティング広告を利用する方が良いのでは? 」と思われている方もいるかと思いますが、Yahoo!プロモーション広告で集客できるユーザー数やターゲット層の質は、Googleアドワーズと比べても相違がありません。Yahoo!プロモーション広告だけで集客をすることも全然可能ですので、Googleアドワーズとあわせてチェックしてみましょう。
また、リスティング広告には「 このキーワードで検索されたときに広告を出したい!クリック単価は最高いくらまで払えます!」という入札によるオークション制も存在します。SEO対策がしっかりと施されたページの検索順位が当然一位になるわけですが、リスティング広告を利用することで、「 自然検索( オーガニックサーチ )」の検索結果よりも上に表示させることができるのです。
下記がリスティング広告の特徴になります。
・SEO対策の場合とは違い、即効性があるのですぐに広告を掲載できる
・希望キーワード、入札額は変更可能なのでコントロールしやすい
・検索上位に表示されるが、オーガニックで表示されるページに比べてクリック率が低い
・有料なので費用がかかる
リスティング広告の場合、SEOとは違い費用がかかるのにクリック率がそこまで高くないものの、広告を設定してから表示までとても速く進めることができるのがポイントですね。
SEOとリスティング広告の違いを表で徹底解析!
SEOとリスティング広告に関しては、どちらの方が良いということはありません。
それぞれ良いところがあれば、短所もあります。この2つをうまく使い分けることがポイントになるのですが、それに関しては後で説明したいと思います。
ここでは、両者の基本的な違いである「 即効性 」「 管理性 」「 クリック率 」「 費用 」の4つで比較してみましょう。
SEO | リスティング広告 | |
即効性(反映スピード) | 時間がかかる | すぐに反映される |
管理性(設定の自由度) | 思い通りにできない | 思い通りにできる |
クリック率 | 上位表示できるとかなり高い | 低い |
費用 | 無料 | 有料 |
この表を元にそれぞれの利点を挙げると、以下のことが言えます。
・SEOは費用対効果が高い
・リスティング広告はすぐに始めることができる
それでは次に、みなさんがSEOとリスティング広告についてより理解できるよう、4つの項目に分けてそれぞれ解説したいと思います。
即効性( 反映スピード )
リスティング広告の場合は、キーワードや入札額を設定すると、その後すぐに広告として上位に表示させることができます。
その一方、SEOは対策を行ったとしてもすぐに順位が上がるわけではありません。ウェブサイトをGoogleのアルゴリズムが評価し、検索順位に反映されるまでは半年かかると思っておきましょう。そして半年待ったからといって必ず上位に表示される保証はありませんし、間違ったSEO対策方法をとっていると順位が上がるどころか下がる可能性もゼロではありません。
こうした理由から、新しいウェブサイトですぐに集客が必要なケースや、直近で開催されるイベントの集客など、時間に余裕がない場合や単発の告知にはリスティング広告がかなり有効的です。特に急いでいない場合は、広告に費用はかけず、長期的にコツコツSEOに取り組んだ方が最終的にメリットは大きいです。
管理性
「 結果をコントロールしやすいかどうか 」という部分で、こちらもリスティング広告を利用するメリットです。ユーザーがどのキーワードで検索した時に表示させるかを決められるだけでなく、ユーザーの性別や年齢、地域などまで細かいターゲット設定も可能です。
また、広告を出したら出しっぱなしではなく、管理画面から表示回数やクリック率、コンバージョン率を確認することができ、ユーザーの動向をチェックしながら設定を調整することができます。
SEOではターゲットなどを設定することはできませんし、Googleのアルゴリズムが判断して検索結果に順位をつけているので、結果をコントロールすることはかなり難しいです。
告知したい期間が決まっていたり、ある一定の地域の人に見てもらいたいなど、ターゲットを絞って多くの人に見てもらいたい場合はリスティング広告を利用しましょう。
クリック率
先ほどの「 即効性 」と「 管理性 」についてはリスティング広告の方が優れているという結果でしたが、リスティング広告のクリック率は、SEOに比べてかなり低いです。その理由は簡単で、人間は広告を避けたがる傾向があるからです。そのため、たとえリスティング広告が検索結果の上部に表示されたとしても、自然検索のクリック率に比べるとどうしても低くなってしまいます。
過去のデータから算出されたおよその数値にはなりますが、下記のクリック率リストをご覧ください。
掲載順位 | Google自然検索 | リスティング広告 |
1位 | 約30% | 約10% |
2位 | 約14% | 約7% |
3位 | 約10% | 約5% |
4位 | 約7% | 約4% |
5位 | 約5% | 約3% |
6位〜 | 約4%以下 | 約2%以下 |
SEOの場合、上位であればあるほどクリック率が高いことが分かりますよね。みなさんも、何かを調べる時、一番上に表示されたページをチェックすることが多いのではないでしょうか。SEO対策にしっかりと取り組むことで、クリック率が高い場所に表示させることができます。
費用
SEOは費用がかかりません。ウェブサイトを改善していく上で人件費はかかりますが、基本的には費用をかけずに取り組むことができます。
それに比べ、リスティング広告は「 1クリック◯円 」というようなクリック課金制になっています。どこまで出せるかという金額は自分で決めるのですが、表示するための最低単価はオークション形式で決まる仕組みです。それもそのはず、リスティング広告の場合、広告スペースには限りもありますし、ある一定以上の金額を設定しないと表示させることができません。検索されやすいキーワードは競争率が高いため、1クリックあたりの費用は自ずと高くなります。
関連記事:SEOの対策費用はどのくらい?SEO対策代行会社5社の比較もご紹介!
SEOとリスティング広告、結局効果があるのは?
ここまで読んでくださった方は、SEOとリスティング広告それぞれの基本的な部分は理解していただけたかと思います。が、「 結局、費用対効果があるのはどっち? 」と思われている方もいると思います。
冒頭でもお伝えしましたが、目的やサービス、商材の内容によってSEOまたはリスティング広告に効果があるかないかは異なります。
「 SEOとリスティング広告、どっちから始めるのがよいか 」というような記事で「 リスティング広告を実施してみて、分かったことをSEOで活かす 」というようなことを勧めているものもありますが、これも本当にケースバイケースだと思います。ここに関しては後で詳しく紹介したいと思います。
まずは、シチュエーション別で費用対効果のある施策を紹介します。
単発のイベントなど短期間で成果を求める場合
数日以内に開催されるイベントやセミナーの参加者を募集したい場合などは、すぐに表示させることができるリスティング広告がおすすめです。
クリックしてもらえるような広告原稿を出しましょう。SEOは上位に表示させるまでに半年ほど時間がかかる場合も多いので、このようなケースの対策としては向いていません。
しかし、そうしたイベントやセミナーの情報を今後も同じウェブサイトから発信する可能性があるのであれば、長期的にSEO対策にも取り組むことで常にそのサイトを検索結果の上位に表示されることができるので、ブランディングにも繋がります。1ページしかないランディングページなどでない限りは、集客を強化したい期間のリスティング広告とあわせて、SEOにも地道に取り組んでみましょう。
扱っている商品・サービスが1つだけの場合
扱っている商品やサービスが1つだけだった場合も、リスティング広告での集客がおすすめです。SEO対策としてブログ投稿などでその分野に関するコンテンツをたくさん用意できる場合は別ですが、ただ商品を紹介しているだけのようなウェブサイトであれば検索エンジンから評価を得るのは難しいです。
リスティング広告であれば、Googleからの評価で重要とされるコンテンツ量がなくても上位に表示させることができ、売り上げに繋げることができます。
企業サイトの場合
企業サイトの場合は、必ずSEO対策をしましょう。決して簡単にできることではありませんが、長期的にSEOに取り組むことで検索順位が上がり、集客だけでなく「 有名な企業 」「 良い商品・サービスを出している会社 」とユーザーに思ってもらうこともできます。企業のブランティングにとても重要です。
また、両方実施するのもひとつの手です。すぐに効果のでるリスティング広告で成果を出しながらユーザーの動向などをチェックし、そこで得た情報を基に長期的なSEOに役立てるのも良いでしょう。
まずはウェブサイトの現状を把握しよう
先ほどもお伝えしましたが、SEOとリスティング広告はどちらも使い方次第で大きな成果を出すことができます。それでは、みなさんのウェブサイトで考えた時にどうでしょう。
・商品、サービスは何か。何種類あるか
・誰に売りたいのか
・ウェブサイトにどのくらいコンテンツがあるか
・そのキーワードはどのくらい検索されているか
・アクセス数を増やしたいタイミングがあるか
まずはこのような項目を明確にしてみると、長期的にSEOに取り組む価値があるか、リスティング広告を打つことに効果がありそうかが見えてくると思います。
また、一般的な企業サイトは、ユーザーにアクセスしてもらって終わりではなく、その先のお問い合わせや購入などのコンバージョンに繋がるかを重要視しています。アクセスはあるけれどお問い合わせが少ないのか、もしくはそもそもアクセス数が圧倒的に少ないのかなど、ウェブサイトの現状把握をすることもポイントです。
ちなみに、ユーザーが見にくいと思うようなウェブサイトであれば、それはSEOやリスティング広告を行う以前に、サイトのリニューアルを実施した方が良い場合もあります。
新しくウェブサイトを開設したり、リニューアルすることには時間や費用がかかってしまうと思いますが、今後のことを考えれば、早い段階で改善されることをおすすめします。
リスティング広告のデータをSEOに活用する方法
ウェブサイトを運営していく上で、どちらか1つの手段を選べば良いということではないことがお分りいただけたかと思います。実際に、リスティング広告で収集できたデータをSEOに活かすことで相乗効果が生まれ、成果を最大化させることができる可能性もあります。
リスティング広告のクリック率があまり高くないのは事実ですが、SEO対策が行き届いておらず上位表示できていないウェブサイトでも広告として目立つところに掲載することができるため、短期間で通常よりも断然アクセス数を稼ぐことができます。そこで得られたデータは、SEO対策において参考になるのです。
表示させたいキーワードの変更ができるなど管理性の高いリスティング広告で効果を検証し、実績が良かったものをSEOにも適用することで、効率良くウェブサイトの価値を上げることができます。
それでは、リスティング広告を行う際に注目したい2つのポイントについて解説します。
キーワード / 検索クエリ
まず、「 キーワード 」とは、webマーケティングの担当者がウェブサイトに設定するワードのことで、「 検索クエリ 」とは、ユーザーが実際に検索する際に入力するワードのことを指します。
検索クエリのデータを確認すると、具体的にどのキーワードでユーザーが流入しているのかを知ることができます。良く集客できているキーワードを徹底的にSEOで対策していくことで、そのキーワードでの検索順位を上げることができ、自然検索からもユーザーの流入を促すことができるようになります。
また、運営側で「 ユーザーはこんなキーワードで検索した場合に自社の商品に興味を持ってくれるのでは 」と仮説を立てていたとしても、検索クエリのデータを確認することで、想定していなかったユーザーのニーズを把握することもできます。
そこから「 じゃあ、このキーワードを対策した記事をウェブサイト内にアップしていこう! 」などと、新たなコンテンツのヒントが得られたり、次の商品開発に繋がる可能性もあります。
関連記事:【SEO対策】キーワード選定の方法と便利ツール7選
広告文
SEOは基本的にこちらでコントロールすることはできない、と説明してきましたが、実は調整できる部分もあります。それは「 見出し( タイトル ) 」と「 説明文 」です。
リスティング広告を利用する際は、同じキーワードでも広告文を複数のパターンで設定することができます。ですので、それぞれの広告文でのクリック率を比較することで、「 ユーザーにとって魅力的な広告文 」を知ることができます。
そのあとは簡単ですよね、その広告文をウェブサイトの「 メタディスクリプション( 検索時に表示される説明文 ) 」にも適用することで、クリック率を上げることができます。
そして説明文だけでなく、見出しも同じです。「【公式】株式会社Her's 」にするか「 株式会社Her's/公式 」にするかだけでも、クリック率は変動するはずですので、色々と試して見逃さないようにしましょう。
リスティング広告は即効性が高いからこそ、スピード感のある効果検証が叶います。
この方法が全ての方に当てはまるわけではありませんが、「 リスティング広告で成果を検証 → 実績の良いものをSEOに適用 」という流れでSEO効果向上に繋がることはあるので、リスティング広告を考えている方はぜひ広告を打って終わるのではなく、ウェブサイトの今後に繋げられるようデータを取るようにしてみてください。
まとめ
SEOとリスティング広告の違いや、使い分け方はお分かりいただけましたでしょうか。どちらもアクセス数を稼ぐためには重要です。
すぐに結果を出したい時はリスティング広告が有効ですが、掲載期間が終わればそこからの集客はゼロに戻ってしまうため、ランディングページなどでない限りはその後データを活かしてSEOでも集客できるよう平行して対策されると良いと思います。
せっかくウェブサイトを開設しても何もしなければ、Googleから高く評価されることもないので検索結果の下の方に表示されてしまい、自然検索でユーザーにサイトを訪れてもらうのはとても難しくなります。
みなさんが自社のウェブサイトでどのような商品やサービスを売り出したくて、どのようなコンテンツを保有しているのかによって方法は異なりますが、アクセス数を獲得するための工夫はどんなウェブサイトにも必ず必要です。
リスティング広告は費用もかかりますし、SEOに取り組むにも時間と労力が必要になりますが、インターネット上での地位を今から地道に確立していくことは、将来の財産になります。まずは自社サイトを分析して現状を把握し、今後のプランを立ててみましょう!