補助金・助成金

「事業再構築補助金」の予算は?中小企業の経営再建や成長を支援

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、経営危機に直面している中小企業や個人事業主、中堅企業の事業再編や新規事業立ち上げを後押しする国の「 事業再構築補助金 」の公募が始まりました。

令和2( 2020 )年度第3次補正予算に盛り込まれた新型コロナ禍への経済対策の1つで、1兆円を超える大型補助金として大きな注目を集めています。

そんな「 事業再構築補助金 」の事業概要や予算規模、今後の公募スケジュールなどについて解説します。

予算規模は1兆円超 コロナ禍対策の超大型補助金

新型コロナの感染拡大で、経営に深刻な打撃を受ける企業が増えています。

そうした状況の中、政府が中小企業の経営支援策として打ち出したのが「 事業再構築補助金 」です。予算規模は1兆円を超え、コロナ禍に対応するための超大型補助金といえるでしょう。

事業再構築補助金の目的とは

「 事業再構築補助金 」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売り上げが大幅に落ち込んだ中小企業を対象とした補助金です。

事業モデルの変更や新規事業の転換で再建を図るに取り組む中小企業などに費用の3分の2を補助します。

申請する会社の規模や事業内容など条件によって補助額は変わりますが、最大で1億円の補助が受けられます。

今回の事業再構築補助金の申請要件は下記のとおりです。

  1. コロナ禍で売上が大幅に減少した

直近6カ月の間で、合計売上高がコロナ以前( 2019年から2020年3月 )に比べて、10%以上減少している月が3カ月以上ある。

2.事業転換や新分野展開で事業再構築に取り組む

事業再構築指針に示された基準に沿って、事業や業種の転換、業態転換のほか、新分野への事業展開を図る。

3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

国が中小企業などを支援する個人・法人として認定した「 認定経営革新等支援機関 」( 認定支援機関 )と相談して、実現性のある事業計画を策定する。

予算額1兆1485億円で年度末までに5回の公募

事業再構築補助金は、令和2( 2020 )年度第3次補正予算案に盛り込まれ、2021年1月に予算が国会で成立しました。

事業再構築補助金の予算は総額1兆1485億円で、過去の補助金と比べても最大級の規模です。

補助金の対象となる事業者を募る1回目の公募は、21年3月26日に始まりました。2回目の公募は同年5月に始まる予定で、22年3月まで、年度中に4回程度実施される見込みです。

補助の内容は5種類 補助額は最大1億円

事業再構築補助金の種類は、会社の規模や事業内容などによって5つの枠に分かれます。それぞれ申請のための条件が異なり、補助額も違います。

もっとも補助額の大きな枠では、最大1億円の補助が受けられます。

補助金の対象となる企業は?

対象となるのは、中小企業基本法で定められている中小企業と個人事業主、中小企業の対象とならない資本金10億円未満の中堅企業です。

参照/ 中小企業庁ホームページ「 中小企業・小規模企業者の定義 」

補助枠は全部で5種類

補助額には、5つの枠が設けられています。

基本は、中小企業を対象にした「 通常枠 」と「 卒業枠 」、中堅企業を対象とした「 通常枠 」と「 グローバルV字回復枠 」の4つです。

このうち、「 卒業枠 」は組織再編や新規の設備投資、海外への事業展開などで資本金や従業員を増やして、中堅企業へと規模拡大を図る中小企業が対象です。

「 グローバルV字回復枠 」は海外への事業展開で大きな成長を目指す中堅企業が対象です。

それぞれの枠の補助額と補助率は次の表の通りです。

中小企業
補助金額 補助率
通常枠 100万円~6000万円 2/3
卒業枠 6000万円超~1億円 2/3
中堅企業
  補助金額 補助率
通常枠 100万円~8000万円 1/2( 4000万円超は1/3 )
グローバルV字回復枠 8000万円超~1億円 1/2

これら4つの枠に加えて、緊急事態宣言に基づく飲食店の時短営業要請などによって、大幅に売り上げが落ち込んだ中小企業・中堅企業を対象に「 緊急事態宣言特別枠 」が設けられました。

特別枠に採択されると、補助金採択の際、加点措置による優先的な採択、補助率の一部引上げが受けられます。具体的には、次の表のように、決められた補助額の範囲まで補助率が引き上げられます。

補助額
従業員数5人以下 100万円~500万円
従業員数6~20人 100万円~1000万円
従業員数21人以上 100万円~1500万円
補助率
中小企業 3/4に引き上げ
中堅企業 2/3に引き上げ

採択数に上限のある枠も

公募枠のうち、「 卒業枠 」と「 グローバルV字回復枠 」については、採択数に上限が設けられています。

公募は2022年3月までの年度末までに複数回予定されていますが、すべての公募回の合計で「 卒業枠 」の採択数は400社まで、「 グローバルV字回復枠 」は100社までとなっています。

「 卒業枠 」「 グローバルV字回復 」への申請を検討している事業者は、できるだけ早い公募回で申請したほうがいいでしょう。

公募回数は年度末までに5回 気になるスケジュールは?

事業再構築補助金の第1回公募の申請受付は2021年4月15日に開始されました。締め切りは30日午後6時です。国では、今後も21年度内に4回程度の公募を行うとしています。

現在のところ、どのようなスケジュールが公表されているのでしょうか。

一次公募は4月末締め切り 採択決定は6月の予定

2021年3月26日に始まった第1回公募は、4月15日から申請の受付を開始し、同月30日に締め切りです。受付期間が2週間あまりと短いので、事前にじっかりと準備をしておくことが大切です。

採択された事業者の発表は6月上旬から中旬の予定となっています。

今後も4回程度の公募が予定されていますが、緊急事態宣言特別枠については、あと1回の予定です。

ただし、今後の新型コロナウイルスの感染拡大状況や経済への影響によっては、予定が変更されることもあります。

「 事業再構築補助金事務局 」のホームページや経済産業省の事業再構築補助金サイトなどで最新の情報を確認しましょう。

二次公募は5月に 3年度中に4回の公募?

2021年4月24日現在の情報では、2次公募は5月から開始の予定です。公募開始から申請受付期間、採択された事業者の発表までのスケジュールは、1次公募とほぼ変わらないでしょう。

その後も、21年度内に3回の公募が予定されています。残り3回のスケジュールは未定ですが、東京や大阪では4月から3度目の緊急事態宣言が発出されました。

今後の感染拡大の状況や経済状況によっては、スケジュールや事業規模の見直しも予想されます。

公募には早めの準備を

事業再構築補助金は、1社あたりの補助額が大きく、事業規模も1兆円を超える大型補助金です。新型コロナで大きな打撃を受け、補助金で経営再建を考える経営者も多いでしょう。

実際、事業再構築補助金事務局のコールセンターには問い合わせが殺到し、電話がかかりにくい状態となっているようです。

このため、同事務局では4月24日から土曜日も問い合わせを受け付けることになりました。

参照/ 事業再構築補助金事務局ホームページ

申請にはしっかりとした内容の事業計画が必要で、準備には時間がかかります。申請受付のスケジュールを確認して、余裕をもって準備を進めましょう。

まとめ 最大規模予算の補助金を活用して事業の再構築を

事業再構築補助金は、中小企業の経営基盤強化と成長を促す最大規模の補助金です。今後の採択状況や公募スケジュール、制度の運用などにも目を配り、必要に応じて最大限活用しましょう。

そのためには、経営コンサルタントなどに相談することも大切です。

Her’sでは、中小企業診断士や行政書士、金融機関などとチームを作り、しっかり連携して事業再構築補助金の申請代行を行っています。補助金の活用方法や申請手続きなど、お気軽にご相談ください。