補助金・助成金

事業再構築補助金は農業でも採択される?|おすすめの事業転換も紹介

経済産業省が発表している資料の中には農業といった一次産業が含まれていないため、「 農業従事者は申請できないのか 」と不安に感じている方も多いはずです。

現在、発表されている内容をもとに農業で事業再構築補助金が採択される方法を考察していきます。

事業再構築補助金は二次産業・三次産業が中心

基本的に事業再構築補助金は二次産業、三次産業が中心と言われています

いわゆる工業や商業といった生産や加工、販売を行う事業が二次産業、三次産業にあたります。製造業や小売業と考えてもらえれば良いでしょう。

一次産業( 農業 )は経済産業省の管轄ではない

「 なぜ一次産業である農業が含まれていないのか 」ということになりますが、簡単には経済産業省の主な管轄ではないからです。事業再構築補助金は経済産業省が取り組んでいる施策なのです。

経済産業省は二次、三次産業を中心に支援しているという機関と言えるでしょう。

あくまで、工業や商業を支援することが中心の業務になってくるため、農業などの一次産業には力をいれづらい部分があるようです。

経済産業省も出来るだけ二次産業、三次産業の支援に集中したいということから、一次産業は農林水産省に任せたいということでしょう。

一次産業である農業は採択される可能性が低くなる

少し触れた部分で何となく察しがつくと思いますが、事業再構築補助金は経済産業省の管轄となり、一次産業は基本的には管轄外とされています。

農業で採択がされないというわけではありませんが、採択されにくいことが予想されます。

農業に関わる全ての事業計画が採択されにくいわけではなく、事業転換の内容によっては採択されやすくなるでしょう。主には次の項目で解説していきます。

農業で事業再構築補助金の採択を受けるために必要な事業転換

ここまで農業での事業再構築補助金の採択を受けることは難しいという内容で解説してきました。しかし、「 採択されない 」というわけではなく、あくまで「 採択されにくい 」ということです。

しっかりとした事業転換を計画すれば農業であっても採択されるでしょう。ポイントになってくるのは「 事業の再構築 」です。

二次産業・三次産業への参入

一番、採択されやすい方法は二次産業、三次産業への参入でしょう。農産物の加工を行うのであれば二次産業になり、加工から販売まで行うのであれば三次産業へ参入という形になります。

もちろん加工に伴う施設や設備の導入が必要になりますが、事業再構築補助金を使えば少ない投資で済みます。

もともと広い土地を有している場合には加工場を設置することも可能ですし、納屋などを改築して加工場に変更することができるでしょう。

ただし、農業用の土地に加工場を設置する場合には、農地法をしっかりと確認する必要があります。

事業再構築補助金の申請には認定経営革新等支援機関と協力して事業計画書を作成することになるため、内容を確認しながら進めるようにしましょう。

直売所から宅配へ切り替える

現在、直売所などで農産物の販売をしている場合にはインターネットを活用した宅配に切り替えることも事業転換になります。

経済産業省が発表している事業転換の一例でも「 飲食店が実店舗から宅配に切り替える 」といった内容があります。

今までにも宅配のサービスを行っていないのであれば、採択される可能性が高くなるでしょう。

パソコンなどの機器は補助金の対象外にはなりますが、ホームページの作成やシステム費などは補助金の対象になっています。

インターネットを活用した宅配サービスの開始であれば少ない経費で始められるため、事業計画書を作成して申請する価値は十分にあります。

ただし、事業再構築補助金の最低金額は100万円からなので、補助率を考えると最低でも150万円以上の経費を使うことが前提と考えておきましょう。

農家レストランをテイクアウトと合わせて開業する

場所にもよりますが、農家レストランとテイクアウトを合わせて開業することも事業再構築になります。

ただし、レストランのみであれば時短営業や、緊急事態宣言が発出された場合に運営が難しくなってしまうため注意しましょう。

テイクアウトと合わせて行うことがポイントです。おそらく現在、新型コロナの影響を受けているような飲食店となる農家レストランだけでは採択されにくいでしょう。

例えば、農家レストランをメインとして、車に乗ったままテイクアウト可能な設備を設けたりすることが理想です。

店舗内のテイクアウトだけであれば多くの企業が事業再構築補助金に申し込んでいるため独創性に欠けてしまいます。

多くの企業が作成している事業計画よりも先を行くことが採択されやすいポイントになるでしょう。

採択されにくい事業転換

採択されにくい事業転換も解説していきます。特に農業は事業再構築補助金で採択されにくいことが予想されるため、単純な事業転換は避けたほうが良いでしょう。

生産物の変更

例えば、「 果物を生産していた農家が野菜の生産も始める 」というのであれば十分な事業転換として捉えられません。

あくまで、農業という枠を出ておらず、設備もそのまま使える物が多いため、「 事業の再構築 」として認められない可能性があります。

他にも「 果物の種類を変える・野菜の品目を変える 」といった単純な生産物の変更は採択されないでしょう。あくまで事業の再構築ということを念頭に置いて考える必要があります

事業再構築補助金は規模が大きいだけに審査も厳しくなる可能性が高くなっています。

さらに事業計画書をもとに審査されるため、より優れた事業計画を採択するでしょう。しっかりと事業転換する必要があります。

農家レストランのみ

採択されやすい部分でも解説しましたが、農家レストランのみというのは採択されない可能性が高いです。

レストランといった飲食業は新型コロナの影響を大きく受けている業種の1つであり、事業再構築補助金はそういった業種に向けて実施されます。

その中で「 農家レストランを始める 」といった事業計画書があっても採択されないでしょう。農家レストランを始める場合には、中心をテイクアウトや宅配に持っていくなどの工夫が必要です。

事業再構築に該当しない代表例

事業再構築補助金は多くの予算が割り当てられていますが、その分、1社の補助額も大きくなっています。

審査も厳しくなることが予想されるため、事業計画書は採択されやすいものを作成する必要があるでしょう。

中でも、事業再構築に該当しない内容避けたほうが無難です。いくつか代表的な例を紹介していきます。

既存の設備を使う場合

先ほどの「 生産物の変更 」などがこの項目にあたります。別の生産物であったとしても既存の設備で生産が可能であれば、事業の再構築としては少し弱くなってしまいます。

ただ「 生産量を増やす・容易な改良を加える 」といった内容は採択されない可能性が高いので注意しましょう。

あくまで、新しい事業を始めることが事業再構築になるということを忘れずに事業計画を立てることが重要になってきます。

既存事業の需要を減らしてしまう

既存事業の需要を減らしてしまう 」というだけでは少し分かりにくいかもしれません。例えば、野菜農家が広大な農地を利用して米の生産を始めるとします。

しかし、米を生産している農家はすでに多くいる状況なので、需要を取り合ってしまうことになります。

難しい部分ではありますが、すでに成長している既存の分野に事業再構築として参入すると「 需要を減らす 」と判断される可能性もあるため、出来る限り新しい分野へ参入するほうが良いでしょう。

競合他社が多く手掛けている

現在その事業を競合他社が多く手掛けているということではありません。あくまで自社が取り組んでいる事業の競合他社と同じ事業転換をした場合になります。つまり、同じ計画を企てている状況ということです。

今回であれば農業というくくりになりますが、同じ農業を営む競合他社が多く手掛けている事業は採択されにくいということです。例えば、農家レストランというだけでは競合他社は多いでしょう。

他にも農家直営の八百屋なども多いことが予想されます。競合他社が多いことで事業再構築補助金が採択されないというわけではありませんが、他に例がないような事業計画のほうが採択されやすいと考えられます。

変わっていく農業の形

農業も時代に合わせて新しくなってきています。この項目では時代に合わせて変化してきている農業の中でも注目されている2つを解説します。

スマート農業の導入

ITを様々な企業が導入し始めた頃は、農業には関係のないものと思われていました。しかし、最近ではITを導入するスマート農業が一般的になってきています。

特に中堅の農業法人ではドローンとITを組み合わせたスマート農業など、ITを導入することも増えてきています。

スマート農業の中でも大掛かりなもので言えばトラクターや収穫の工程を自動化するICTが主流と考えられがちでしょう。

もちろん活用すれば人件費の節約や、確実な収穫が可能になるためメリットは十分にあります。ただし、経費も大きくかかるため多くの農家はスマート農業に乗り気ではありません。

しかし、スマート農業の中にはビニールハウスのカーテンを時間帯で自動開閉するものや、自動の給水システムなど、比較的少ない経費で始められるものもあります。

事業再構築補助金の他にIT導入補助金という制度もあるため、補助金を利用すればスマート農業にも取り組みやすくなるでしょう。

購入型クラウドファンディングの利用

最近では一般的に広く認知され始めているクラウドファンディングですが、農業でも広がりを見せています。

クラウドファンディングにはいくつか種類がありますが、農業で注目されているのは「 購入型 」のクラウドファンディングです

購入型は1つのプロジェクトごとで資金を集めますが、あくまで投資ではないため、支援者には商品やコンテンツを返すことと考えてもらえれば良いでしょう。

農業に特化した購入型クラウドファンディングも登場しているため、難しいことは少なく、運営側と一緒に進めることが出来ます。農業に特化したクラウドファンディングを紹介します。

クラマルbyマイナビ農業

出典:https://crowd-marche.agri.mynavi.jp/pages/about

求人サイトでも有名なマイナビが手掛けている農業に特化したクラウドファンディングです。

マイナビは農業専門のメディアも立ち上げており、様々な農業に関する疑問や取材を通して農業の「 いま 」が分かる内容になっています。

マイナビというブランドは強力なため、クラウドファンディングに関してもうまくいく可能性が高いでしょう。

公式サイト

農業向け他の助成金

農業での事業再構築補助金は採択の可能性が低くなる可能性があることを解説してきました。

事業転換の工夫などをすれば農業でも採択される可能性はありますが、経済産業省は二次産業、三次産業の支援を中心としているため、一次産業である農業に対しては採択が厳しくなるのではという解釈です。

しかし、補助金の制度は他にもあるため、農業で使えそうな補助金を2つ紹介していきます。

経営継続補助金

対象者 補助率 補助額
農林漁業者(個人および法人)
従業員数20人以下
3/4 上限100万円

経営継続補助金は、農業や漁業の一次産業に向けた補助金です。経営の継続に関わることに対する補助金になるため、事業再構築補助金に近い内容になっています。

また、新型コロナの感染拡大防止の取り組みに関しても別途で最大50万円の補助も用意されているため、合わせての申請も問題ありません。

現在は2次まで受付がされており、3次の募集はまだされていませんが、公募が続くのであれば一次産業の従事者には大きな補助金になるでしょう。

IT導入補助金( スマート農業に利用 )

対象者 補助率 補助額
通常枠 中小企業
小規模事業者
1/2〜3/4以内 30万円〜450万円
低感染リスクビジネス枠 中小企業
小規模事業者
2/3以内 30万円〜450万円

IT導入補助金は農業のみに向けた補助金ではありません。しかし、スマート農業の導入に活用することが出来ます。大きな枠は2つありますが、A類からD類まで細かく内容が設定されています。

ITの導入が中心となる補助金ですが、実際にスマート農業を導入するために、IT導入補助金を利用して採択されている例も出ていることから十分に農業に活用可能な補助金と言えるでしょう。

【まとめ】農業では大きな事業再構築が必要

「 農業では事業再構築補助金に申請できないのか 」という疑問に沿って解説してきました。農業でも事業再構築補助金に申請は可能です。

しかし、あくまで「 可能 」ということで採択されることは難しいかもしれません。事業再構築補助金を実施する経済産業省は主に二次産業や三次産業といった生産、加工、販売が中心の補助を目的としています。

農業は一次産業になるため、経済産業省の管轄外ということになってしまいます。ただし、採択されないのではなく、採択されにくいということが正しいでしょう。

採択されやすくなる方法としては、加工や販売といった生産以外の事業再構築に望むことです。事業再構築補助金では事業の継続というよりも、事業の変革を主にしています。

今まで通りに生産を続けるだけではなく、ウィズコロナの時代に合わせて、二次産業や三次産業に参入していくことで採択される可能性も高くなるでしょう。