新型コロナ感染症の影響で、大きな打撃を受けた中小企業や個人事業主らの事業立て直しを支援する国の「 事業再構築補助金 」の申請受付が間もなく始まります。
しかし、補助金を受けるには申請書類を提出し、審査を受ける必要があります。補助金の申請を検討しているものの、申請の仕方が分からなかったり、申請書類を作成する自信がなかったりして困っている事業者も少なくないのではないでしょうか。
そうした事業者のために、申請を代行してくれたり、自分で申請できるようサポートしてくれたりする業者があります。申請代行を依頼すると、どのようなサポートが受けられ、費用はどの程度かかるのか、説明しましょう。
事業再構築補助金の申請に必要な書類とは
事業再構築補助金に必要な書類は、まだ詳細が公表されていませんが、最も重要になるのが、今後の事業計画です。審査を経て採択されなければ、補助金を受けることができないので、しっかりと現状認識をしたうえで、実現性の高い計画を提示する必要があります。
事業再構築補助金の申請に準備するもの
事業再構築補助金の対象となるのは、新たな分野への参入や、不採算事業の整理などによる業種・業態の転換で厳しい経済環境を乗り越えようとする事業者です。このため申請に最も重要となるのが、具体的な事業計画です。
計画は委員による審査を受け、採択されるかどうかが決まります。当然のことですが、ここで低い評価を受けると、補助金は支給されません。
では、事業計画の作成には、どのような内容を盛り込む必要があるのでしょうか。一般的な補助金申請の際の事業計画の場合、つぎのようなものが必要です。事業再構築補助金でも必要になるのは確実ですので、早めに準備しましょう。
・決算書(過去2期分)
経営の現状や新型コロナウイルス感染症拡大の影響を分析するには、決算書は欠かせません。決算書をもとに経営課題を洗い出しましょう。
・会社としての強み
会社の歴史や実績、従業員が持つ知識や技術をもとに、会社としての特色、特に強い分野や他社との差別化を図れる部分を整理します。
・取り組む事業のコンセプト
補助金を受けて、どのような事業を展開するのか明確にします。ターゲット層や提供する商品・サービス、顧客にアピールする点などを明確にします。
・取り組む事業に必要な経費
補助金は事業に必要な経費に対し支給され、通常の運転経費は対象となりません。事業に必要な経費の算出も欠かせません
・売上と利益の見込み
事業計画ですから、どれくらいの売り上げがあり、どの程度の利益が期待できるのか、具体的な見込みも示す必要があります。もちろん、現実的な予測を立てなくてはなりませんし、一定水準以上の利益の増加を見込んだ内容にしなければなりません。
事業再構築支援の場合、補助を受けた後、3~5年で営業利益と人件費、減価償却費の合計が年率平均3.0%以上(一部の特別枠は5.0%)増加する事業計画を策定する必要があります。
書類作成は自分でできる?
書類の作成は自分でも可能ですが、実際に事業者が自力で行うのは容易ではありません。特に難しいのは事業計画でしょう。審査を受ける以上、必要な内容がすべて盛り込まれ、説得力のある事業計画が求められます。
これはとうてい1日や2日でできるものではなく、事業者が自分で事業計画を含めた申請書類を作成しようとした場合、約100時間はかかるともいわれます。このような作業を日々の事業のかたわらで行うというのは、大変な労力がかかりますし、専門家のように要点を押さえた書類を作成できる保証もありません。
関連記事:事業再構築補助金の申請方法と条件
事業再構築補助金の申請代行の流れ
事業再構築補助金の確実な採択を目指すのであれば、よほど書類作成に自信がない限り、専門家に書類作成や申請の代行を依頼するのが無難でしょう。
では、申請代行はどこに依頼すればいいのでしょうか。申請代行を依頼する業者の選び方と、依頼後の申請から審査の結果がでるまでの流れを紹介しましょう。
事業再構築補助金の申請代行はどこに依頼する
一般的に補助金の申請代行は経営コンサルタント会社が行っています。インターネットで「 事業再構築補助金 申請代行 」で検索すれば、近くの申請代行業者が見つかるでしょう。
このとき注意したいのは、業者がどのような資格を持っているか、という点です。申請代行に必要な資格は特にありませんが、中小企業診断士や税理士、行政書士といった資格を持つ人のいる業者を選ぶといいでしょう。また、金融機関との連携がしっかり取れていることも大切です。
株式会社Her'sでも、中小企業のビジネスのオンライン化支援に取り組み、補助金の申請代行を行っています。補助金の申請を検討されている方は、ぜひ一度、ご相談ください。
一般的な申請代行の流れ
経営コンサルタントに事業再構築補助金の申請代行を依頼すると、どのような流れで申請から採択の採否が決まるのか、一連の流れについて説明しましょう。
1.ヒアリング
申請代行業者が、補助金申請の目的や事業計画についてのヒアリングを行います。初回の相談は無料としている業者も多いようです。
このヒアリングで「 事業再構築補助金 」の対象となるかどうかの判断を行います。補助金の対象とならない場合は、別の補助金を勧められることもあります。別の方法で事業計画の実現を図ることができないか、相談することもできます。
2.見積りと契約の締結
ヒアリングの結果をもとに、事業再構築補助金の対象となり、採択される見込みがあるのかを申請代行業者が判断します。補助の対象であっても、事業内容に実現性が乏しいと判断されたときは断られることもあります。
中には採択される見込みが薄くても、着手金を目当てに契約を勧める業者もいますので、業者選びは慎重に行ってください。事業計画の内容について詳しく検討してくれる業者を選ぶといいでしょう。
採択の見込みがあると判断されれば、見積もりや契約内容についての詳しい説明があり、契約を結びます。契約は、主に守秘義務契約とコンサルティング(事務委任)契約です。この中には報酬についての取り決めも含まれますので、十分に確認しましょう。
3.必要の書類の提出と詳細なヒアリング
契約が終われば、申請代行会社は決算書類などの資料の提供を受け、さらに詳しいヒアリングを行います。
ヒアリングでは事業計画だけでなく、経営の現状や会社としての強み、社風などについても話を聞き、経営課題とその解決方法についても事業計画に盛り込んでいきます。
4.申請書の作成と提出
事業計画をはじめとする申請書が完成し、オンラインによる申請が完了すれば、申請代行のサービスは終了です。
その後の事業遂行に向けての支援は、別料金となる代行業者が多いようです。契約内容によっては、その後の支援も受けられる場合もあります。
申請代行の費用の相場は?
代行業者によって内容は異なりますが、多くの場合、補助金の対象となるかの判断から、申請書の作成、提出までがサービスの内容となります。
費用についても、業者によってまちまちですが一般的な契約形態と費用について説明しましょう。
申請代行の費用の相場とは?
補助金の申請代行の料金は業者によってさまざまで、サービスの内容も千差万別です。
一般的には、契約時の着手金が10万円から15万円、申請が採択され補助金の支給が決まったときの成功報酬が補助金額の10%という契約が多いようです。中には「完全成功報酬」として着手金は取らず、補助が決まったときだけ補助金額の20%を支払うという契約もあります。
例えば、補助金の額が1000万円だとすると、報酬額は110万円から200万円。決して安いとはいえません。それだけに業者選びは慎重に行うことが必要です。
書類作成に自信があるなら添削依頼
「申請代行は、支払う報酬額が多すぎる」と考えている事業者も多いのではないでしょうか。しかし、自分で申請を行うときの手間や時間、労力を考えると、必ずしも高いとは言い切れません。
それでも、報酬額で躊躇するという事業者には、添削サービスもあります。これは、事業者が自分で作成した申請書を経営コンサルタント会社などが添削するというサービスで、メールなどでも対応してもらえます。
サービス内容は会社によって異なりますが、3万円程度で1回から3回の添削を受けられるものが多いようです。
ただし、事業計画など申請書の記載内容が一定の水準に達していないと、サービスの提供を断られる場合があります。ある程度書類作成に自信がないと、添削サービスだけでの採択は難しいかもしれません。
交付決定後のサポートは別費用?
「 事業再構築補助金 」は申請が無事、採択されて終わりではありません。その後、事業計画を着実に進め、実績報告を行って始めて補助金が支給されます。こうした交付決定後のサポートの内容も各業者で異なります。
交付決定後のサポートは別料金となるところが多いようですが、報酬に交付後のサポート料金が含まれている場合もあります。別契約となる場合も料金はまちまちです。
申請代行を依頼する場合は、その後のフォローアップについての内容についても、しっかり確認しましょう。
まとめ
事業再構築補助金は、事業転換を図る中小企業にとって、強力なサポートとなりますが、額も大きいだけに、国の審査も厳格です。実現可能性が低く、見通しも甘い内容では採択されません。
一方で、補助金の申請のために事業計画を作成することは、事業の現状や将来性を考えるよい機会となります。ぜひ、採択、不採択にかかわらず事業の将来を一緒に考え、サポートしてくれる業者を選んでください。