新型コロナウイルスの感染症拡大の影響によって、経営に打撃を受けた中小企業を後押しする「 事業再構築補助金 」の交付申請受付が始まりました。
第1回の応募締め切りは4月30日ですが、今年度中にさらに4回程度公募が行われる予定です。
事業再構築補助金の交付申請には、詳細な事業計画を提出する必要があり、申請の知識に乏しい人が自分で準備するのは大変です。
このため、コンサルタント会社や金融機関などにサポートの依頼を検討している人も多いでしょう。
しかし、普段、経営サポートを受けたことのない人は、どこに依頼をすればいいのか迷ってしまいます。
サポートの依頼先の候補の1つとなる行政書士は、公的機関に提出する申請書類など文書作成のプロです。
行政書士に文書作成を依頼すると、どのようなサポートを受けられるのか、また、どのような点に注意すべきなのかを解説しましょう。
申請の支援を依頼するメリットは?
申請書類の作成から申請まで、すべてを業者に代行してもらえば、経営者は面倒な手間に時間を取られることがなく、経営に専念できます。
しかし、事業を行うのは自分たちです。できるだけ事業計画の策定に関与し、現実的で説得力のある事業計画書の作成に努めましょう。
申請の支援といっても、さまざまな方法があります。
経営者にとって最も負担が軽くなるのは、書類の作成から申請までの代行です。費用は着手金10万円~20万円、成功報酬が補助金額の10〜20%というのが相場のようです。
費用を抑えたいという人には、書類の添削指導というサービスもあります。
自分で作成した書類を採択されやすいように添削してもらえるのですが、一定の水準以上の書類を作成しないと断られてしまうことがあります。
また、計画書を策定するためのテンプレートを提供している業者もあります。
初めて申請する人は、計画書策定を含めた申請代行、何度か補助金申請を行った経験のある人は、添削指導やテンプレートの活用を検討するといいでしょう。
申請の支援を依頼するには
申請の支援を依頼すると言っても、さまざまなサポートの形がありますし、支援業務を行っている業者もさまざまです。
主に金融機関や商工会などの経済団体、税理士事務所、経営コンサルタントなどがサポート事業を行っていて、それぞれ持っている資格や得意分野も異なります。
特に規制があるわけではないので、極端なことを言えば、資格や経験がなくても事業を行うことができます。
そのため、依頼先を選ぶ際はどのようなサポートをしてもらえるのか、よく話を聞いたうえで決めることが大切です。
申請支援の依頼先の候補となるのは?
申請の代行や支援などを行っている事業者は大きく4つに分けられます。それぞれ、どのような特徴があるのか説明しましょう。
- 金融機関や金融機関系列の経営コンサルタント
補助金を受給するといっても、事業を行うには資金の融資を受ける場合があるため、金融機関や金融機関系列のコンサルタントに支援を依頼すれば、融資の手続きがスムーズに進みやすいメリットがあります。
- 商工会や商工会議所など中小企業の支援団体
中小企業支援の経験が豊富で、地元経済の動向に詳しく、地元企業同士のマッチングなどにも積極的だという点が強みです。
- 士業の個人、法人
弁護士や税理士、公認会計士、行政書士、中小企業診断士などいわゆる「 士業 」の個人や法人です。中小企業に関する法律に精通していて、公的機関に提出する書類作成にも慣れています。
特に中小企業診断士は、中小企業向けコンサルタントの国家資格で、国の中小企業対策を推進する役目も役割も担っています。
資格取得には、中小企業が個別に抱える問題点や課題を見つけ出し、解決策を探ったうえで、申請書などの文書を作成する能力が求められることから、士業の中で最も申請支援に向いているといえるでしょう。
このほか、弁護士は法律全般のプロですし、税理士や公認会計士は財務分析や税制面でのプロ。行政書士は公的文書の作成のプロで、許認可や各種申請に関する法律に精通しています。
士業の場合は、それぞれ得意分野があるため、他の士業や金融機関などと連携しながら申請の支援を行っているところが多いようです。
- 経営コンサルタント
経営コンサルタントといっても規模も形態もさまざまです。
各種資格を持つスタッフが何人も在籍し経営改革やM&Aを手がける大きな法人から、特定の分野に強みを持ち、他の金融機関や士業、経営コンサルタントなどと協力しながら企業の相談にのる小規模な事業者まで、それぞれが特色ある業務を行っています。
このため、依頼するときは相手のコンサルタントの得意分野や実績を確認し、自分たちにとって有益な支援を受けられるかどうかを確認することが大切です。
認定支援機関とは
事業再構築補助金の申請にあたっては、認定経営革新等支援機関( 認定支援機関 )のサポートを受けることが義務づけられています。
認定支援機関とは、中小企業の経営について専門性の高い支援事業を行うことができると国に認定された個人、法人、団体のことです。
具体的には、金融機関や商工会などの経済団体、士業の個人・法人などが認定を受けています。
行政書士に依頼するメリットは
事業再構築補助金を申請する際、行政書士に依頼するとどのようなサポートが得られるのでしょうか。受けられるサポートの特徴と依頼するときの注意点について説明します。
行政書士は文書作成のプロ
行政書士は行政書士法に基づく国家資格です。行政書士には大きく分けて、次の3つの業務が認められています。
- 書類作成業務
報酬を受け取って会社設立や営業に関する許認可申請、遺言書や示談書、会社定款など法的効力を持つ文書を作成します。補助金の申請書類の作成もこれに該当します。
- 許認可申請の代理
報酬を受け取って依頼者に代わって作成した書類を官公署などへ提出する業務です。
- 相談業務
顧客からの法的な相談に応じる業務です。
基本的には書類作成に関する相談で、相続や示談など個人を対象にしたものから、企業の経営や法務相談といったコンサルティング業務まで幅広い内容に対応できます。
書類を作成しなくても、相談料を受けとることができます。
最近は、文書の作成よりもコンサルティング業務に重点を置く行政書士も増えています。
認定支援機関かどうかの確認を
行政書士といっても、幅広い分野の業務を扱っており、個人や法人によって得意分野は異なります。行政書士に申請の支援を依頼するときは、中小企業の経営に精通した行政書士を選びましょう。
ホームページなどで実績などを確認することもできますが、認定支援機関かどうかを確認するのが一番確実でしょう。
認定支援機関であれば、中小企業の経営を支援するだけの知識や実務能力があると国に認められているため、安心して依頼できます。
実績の確認を忘れずに
認定支援機関でなくても、申請の支援を行っている行政書士もあります。
そうした個人・法人の行政書士でも支援認定機関や他のコンサルタント会社などと提携していますので、それなりの支援が受けられます。
しかし、中小企業の経営支援の知識や経験が豊富とはいえない事業者も中にはありますので、よく実績を確認することが大切です。
【まとめ】おすすめは行政書士ではなく中小企業診断士
経験の乏しい行政書士にあたってしまうリスクを考えると、申請の依頼をするときは中小企業診断士に依頼するのが望ましいでしょう。
中小企業診断士は中小企業向けコンサルタントの国家資格です。事業の現状分析に基づき今後の事業計画への適切なアドバイスを受けられることが期待できます。
近くに中小企業診断士が見つからないときは、中小企業診断士と連携できる態勢を取っている事業者を選ぶといいでしょう。
Her’sでは、中小企業診断士や行政書士、金融機関などとチームを作り、しっかり連携して事業再構築補助金の申請代行を行っています。ぜひ、お気軽にご相談ください。