YouTubeが広く一般的になった昨今、YouTuberたちはいろいろな方法で視聴回数を伸ばそうと工夫を凝らしています。
そのひとつに、サムネイルへのこだわりがあります。
「 動画の顔 」とも言うべきサムネイルに、動画と同じぐらいこだわる人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際サムネイルの作り方や、何が効果的なのかはわからないという人も少なくないはず。
そこで今回は、YouTubeのサムネイルの概要とテンプレートと自作の比較、必要な理由や無料で作れるソフトの紹介をしていきます。
そもそもサムネイルとは?
YouTubeで動画検索をすると、タイトルとともに出てくる画像がサムネイルです。ひと言でいえば「 動画の顔 」となるこれは、視聴者獲得に大きな影響を与えます。
サムネイルの語源は英語の” thumbnail ”です。「 親指の爪 」という意味で、それぐらいコンパクトにまとまったもの、簡潔にまとまったものを指します。
文字で説明することも大事なのですが、伝えたいことを100%伝えられるかと言われれば正直難しいのが本音です。
「 百聞は一見に如かず 」という言葉があるとおり、画像で伝えるほうが、ときに相手によく伝わることもあります。
サムネイルとは、初見の相手に強烈なメッセージを与えるための大切な要素なのです。
テンプレートと自作はどちらがいい?
YouTubeには事前に自動でサムネイルを作成する機能がありますが、自作のものを使用することもできます。
どちらに設定しても内容は変わることなく公開することもできますが、視聴者獲得のためにはサムネイルを設定したほうがいいでしょう。
この時気になるのは、テンプレートサムネイルを使うのと、自作するのとではどちらが有効なのかではないでしょうか。
どちらもメリット・デメリットがありますので、本章で紹介していきます。
テンプレートサムネイルのメリット・デメリット
テンプレートといっても特定の、汎用できる準備されたものがあるわけではありません。
正式には基本サムネイルと言われますが、通称でテンプレートと呼ばれています。テンプレートサムネイルのメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
・サムネイルを作る時間を削減できる
・ビッグデータに基づいて作成できる
・費用がかからない
デメリット
・目玉シーンがサムネイルになるかはAI次第
・定点動画では活かしきれない
・配信者の顔は出せない
テンプレートサムネイルは、YouTubeのAIとビッグデータによって算出されたサムネイルが3つ自動で作られるという特徴があります。どのシーンが視聴者を獲得できるかを判断し、サムネイルを作ってくれるのです。
この機能は無料で、サムネイルの作成時間が取れない人や低コストで運営したい人にはおすすめです。
一方で、見どころシーンがサムネイルに選ばれるかはAI次第なのでこちらからは指定できません。
また、演奏などのアングルが常に一定の動画についてはどのシーンを切り取っても大差がないので効果は薄めです。
テンプレートサムネイルを使うのであれば、ある程度の動きがある動画での活用をおすすめします。
カスタムサムネイルのメリット・デメリット
自作サムネイルは、正しくはカスタムサムネイルと言います。大物と呼ばれるYouTuberや、収益化を目指す配信者はほぼすべてカスタムサムネイルを設定しています。
カスタムサムネイルのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
・見どころをサムネイルにできる
・文字入れや画像の挿入が可能
・配信者の顔やキャラクターを登場させられる
デメリット
・作成に必要なアイテムを揃える必要がある
・場合によっては費用がかかる
・作成までの時間がかかる
サムネイルを別枠で作るので、時間と手間がかかります。有料の編集ツールを使ったり、文字テーマを使ったりすれば費用も発生することもありますし、作成のための準備も必要です。
その代わり自動生成と違って自分が一番注目してほしい場面をサムネイルに設定できるメリットがあります。
また、配信者が顔出ししていれば顔を、キャラクターを喋らせるVTuberならキャラクターをサムネイルに使用することも可能です。
定点撮影の動画や、より注目度を集めたいのであればカスタムサムネイルを使用したほうがいいでしょう。
YouTubeのサムネイルを設定する方法
サムネイルの設定方法は、テンプレート・カスタムともにとてもカンタンにできます。自分の動画の注目ポイントに合わせて設定をしましょう。
まずはテンプレートサムネイルの設定方法の紹介です。
- YouTubeの画面右上の「 クリエイターツール 」から「 動画の管理 」を選択
- 投稿動画一覧から設定したい動画を選択して「 編集 」を選ぶ
- 表示された動画右側に3つの自動生成されたサムネイルがあるので好きなものを選ぶ
- 「 変更を保存 」をクリックして完了
自動生成されるテンプレートサムネイルは3種類あるので、特に伝えたいシーンがあればそれを選択しましょう。
続いて、カスタムサムネイルの設定方法の紹介です。ただ、こちらをするには先にYouTubeのアカウントの認証を得る必要があります。
YouTubeでは「 確認済み 」と言われるもので、その方法から先に説明します。
〜「 確認済み 」にする手順〜
- YouTubeの画面右上の「 クリエイターツール 」から「 ステータスと機能 」を選択
- 画面上部の「 アカウントとステータス 」を選び、「 確認 」をクリック
- 画面上に出てくる国名が「 日本 」になっていることを確認して次へ
- ショートコードを受け取る電話番号、もしくはメールアドレスを入力して送信する
- 届いたショートコードを入力して完了
この手順を完了しなければカスタムサムネイルを設定することができません。なお、この手順はスマートフォンからでも可能です。都合のいいデバイスから「 確認済み 」にしましょう。
いよいよカスタムサムネイルの設定ですが、こちらはパソコンとスマートフォンで設定の仕方が若干異なります。
まずはパソコンからの設定方法から見ていきましょう。といっても、①②の流れはテンプレートサムネイルと同じなので、ここから先の説明をします。
〜パソコンからカスタムサムネイルを設定する手順〜
- テンプレートサムネイルの設定方法と同じ
- 動画右側のサムネイルの下にある「 カスタムサムネイル 」を選択
- デスクトップ上に保存したサムネイル画像を選択して「 変更を保存 」を選択
先にサムネイル画像を作り、デスクトップに保存しておく必要がありますが、好きなものを選択できるのが強みです。では続いて、スマートフォンからの手順です。この手順では、先にクリエイター用アプリである「 YouTube Studio 」をインストール、登録しておく必要があります。忘れずにしておきましょう。
〜スマートフォンから自作サムネイルを設定する手順〜
- YouTube Studioを立ち上げて、サムネイルを指定したい動画をタップ
- 動画に鉛筆マークが出たらそれをタップし、すぐに表示される「 サムネイルを編集 」をタップ
- カメラやダウンロードなどのフォルダからサムネイルに使いたい画像を選択
- 右上に出る「 選択 」をタップし、続けて「 保存 」をタップすれば完了
やや複雑なように見えますが、SNSに画像などをアップロードするのとほぼ流れは変わりません。
使い慣れているようならば、スマートフォンから設定したほうが早く済む場合もあります。
YouTubeのサムネイルが必要な理由
サムネイルは視聴回数を増やすうえでこだわるべきポイントの1つです。収益化を目指しているにしても、インフルエンサーにしても同じことが言えます。
逆に言うと、動画の編集作業の手間が増えるわけですが、なぜサムネイルが視聴回数の増加につながるのでしょうか。
そこには3つの大きな理由があるのです。本章ではその理由に迫っていきます。
動画内容が大まかにわかる
サムネイルの役割のひとつとして、本で言う「 帯 」の役割があります。本の帯には内容や感想を非常に簡単にまとめた情報が載っていることがあります。サムネイルも、媒体が画像なだけで果たしている役割はほぼ同じです。
新規の視聴者が動画にとっつきやすくするには動画の中身が見えることが大切。サムネイルが設定されていれば動画の一部分から推測できるので、何もない動画よりは訪問者が多くなります。
このように、サムネイルが帯の役割を果たし、言葉だけでは伝わらない中身の紹介をしているのです。
検索画面で目立つ
2つ目のサムネイルの役割として、検索画面で目立つというものがあります。
YouTubeには無数の動画がアップロードされています。収益化のためやインフルエンサーになるために作られたものから、趣味の範疇でアップロードされたものまでさまざまです。
サムネイルが検索結果で目立つと、数ある動画から選ばれやすくなるのです。
これは実写化における看板の役割と同じで、目立つ配色やデザインであればあるほど人は興味を持つのです。
キーワード検索を視聴者がかけるということは、その内容の動画を見たいけど配信者は決まっていないということ。
つまり、この看板がうまくできているかそうでないかで、その視聴者を取り込めるかどうかが変わってくるのです。
運営者の顔がわかる
3つ目の役割は、運営者の顔がわかることです。
検索画面で目立つという内容と若干被りますが、配信者の顔が見えるとある程度の安心感を得られます。大手企業の広告などに社長などの名物社員が登場するのはこのためです。
YouTubeでも同じことが言えます。何度も顔を出していると、視聴者が覚えてくれるようになります。
異なる検索ワードでおなじみの顔が出てくれば、自然と閲覧してくれるようになるでしょう。最初から名前で憶えてもらおうとせず、顔で覚えてもらうことも重要ですね。
効果的なサムネイル作成のポイント
サムネイルの作成は、その動画を活かすか殺すかの重要な役割を持っています。
だからこそこだわりぬいた1枚を作りたいですね。では、実際に作成するうえでのポイントとはどのようなものがあるのでしょうか。
3つのポイントを、実社会の話や大物YouTuberを例に紹介していきます。
動画の一部分を使う
サムネイルには動画の一部分を入れることを強くおすすめします。
とはいっても、一部分なら何でもいいというわけではなく、その動画の内容がわかる一部分を選ぶ必要があります。
ここを一番強調したい!というシーンでもいいですが、「 帯 」の役割を活かすなら動画の内容がわかる1コマでもいいでしょう。
( 引用元URL: https://www.youtube.com/watch?v=kDyzsXOuUZw )
上の写真は大物YouTuberのひとり、はじめしゃちょーのサムネイルです。これを見れば、はじめしゃちょー( 右側 )と左側の男性がサムネイルで勝負をするという大まかな中身がわかりますね。
ただ、これだけでは何を勝負するのかわからないのでタイトルに記載してよりイメージしやすくしているのです。
サムネイルのシーンは左右の人別々で動画内に出てきますが、楽しそうだなという雰囲気は伝わってきます。
文字入れやデザインにこだわる
せっかくカスタムサムネイルを使うのであれば、文字を入れられる強みを存分に生かしましょう。
1コマが小さいのであまりにも長い文章は入れるべきではありません。ここで入れるべきは、その動画のキャッチコピー。
内容全体を言いすぎず、言わなさすぎずという難しいところですが、うまく決まれば視聴者が多く足を運んでくれます。もちろん、ただ文字を入れるだけも一定程度の効果はあるでしょうが、目立たせないと埋もれてしまいます。
そこで活かしたいのが色相環と補色です。
( 引用元URL: https://www.signmall.jp/blog/the-color-scheme-of-the-striking-sign-board/ )
上の図は色相環と補色の説明の一部です。この基準色と補色の関係を活かすと、より目立つデザインのサムネイルを作成することができるのです。
これは実社会の看板作成にも使われているデザインの基礎中の基礎。
サムネイルでも十分応用が利きます。ただし、あまり多用しすぎるとかなりきつい印象になってしまうので、白や黒で文字枠を囲むなどの工夫が必要です。
顔やキャラクターを多用する
まずは下の写真を見てください。
( 引用元URL: https://iphone-mania.jp/news-275497/ )
言わずと知れた『 Apple 』の共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏です。この人の顔を見て、『 Apple 』と名前が出てこなくてもiPhoneやiPadを思い浮かべない人はいないでしょう。
それだけ、ジョブズ氏=『 Apple 』製品と我々には刷り込まれています。サムネイルに運営者の顔出しを求めるのも同じ理屈です。
つまり、名前を憶えていないライトユーザーも顔を見てリピートする可能性があるということです。
顔出ししている運営者は積極的にサムネイルに自身の顔を載せると効果があります。
なお、これ以外にもVTuberであればキャラクターを前面に押し出してもOK。理由は実際の顔出しとまったく同じです。まずはビジュアルから覚えてもらうことも大切です。
YouTubeのサムネイルを自作できる無料ソフト
カスタムサムネイルは、画像編集ツールを持っていて作り方を知っていれば誰でも作成することができます。
とはいえ、チャンネル運営を始めたばかりの人に限りませんが、できる限りお金はかけたくないもの。
そこで本章では、YouTubeのカスタムサムネイルを無料で作成できるオススメ編集ツールを3つ紹介します。
PhotoScape X
画像引用元:「 PhotoScape X 」公式HP
WindowsでもMacでも使える『 PhotoScape X 』は無料でも十分な数の機能を使うことができます。
ただ画像をトリミングしたり、文字を入れたりすることができるだけではありません。
フリー素材として提供されているフォントや効果をつけるための画像と組み合わせることも可能になるのです。
大物YouTuberも愛用しているという人が多いので、もし使っていなければ試してみましょう。
Keynote
画像引用元:「 Keynote 」公式HP
『 Apple 』から提供されている『 Keynote 』もサムネイル作成では有効です。
プレゼンテーションのスライド作成が本来の用途ですが、1枚もので作ればサムネイルの作成にも使えます。
Macと同期してあるiPhoneなどと共同作業ができるので、場所を問わず編集ができます。
ちなみにWindowsの『 Office PowerPoint 』との互換性もあります。パソコンはWindows派という人でも安心です。
Canva
画像引用元:「 Canva 」公式HP
『 Canva 』はYouTubeのサムネイル作成に特化したフリー編集ツールです。
最大の特徴はサムネイルの装飾用テンプレートが無料で豊富に公開されていること。編集はパソコンでもスマートフォンでもどちらからでもできます。
ちなみに、この装飾用テンプレートはプロデザイナーが作成したものになります。
一部有料コンテンツもありますが、無料版でも十分な装飾が可能です。
まとめ
YouTubeのサムネイルについて重要性から作成ソフトまで紹介してきました。
視聴回数を増やしたい理由があるのであれば、動画内容もそうですがサムネイルにもこだわらなければいけません。
YouTubeで何かしらのキーワードを検索すればわかりますが、テンプレートサムネイルはほとんど見かけないのです。
それだけ動画作成に本気になっている人が多いという表れでもあります。
日本を代表するYouTuberにして、『 株式会社UUUM 』の最高顧問であるHIKAKINのあるエピソードを最後に紹介します。HIKAKINが本格的にYouTubeに投稿を始めたころは視聴回数が伸び悩んでいました。
当時は日本であまりYouTubeが浸透していなかったという理由もありますが、苦戦をしていたそうです。
そこで彼は、海外の大物YouTuberの動画を徹底的に研究。
動画内容や企画はもちろん、サムネイルの作り方も独学で勉強し、今のスタイルを確立したのです。
今はそこまでしなくても少し検索すれば情報はたくさん出てきます。
それでも先駆者たちはサムネイル1枚に対してものすごい研究と作成時間をかけてきたことは事実です。
本気の運営をしたいのなら、まずはサムネイルで差をつけてみませんか。