リモートワークやテレワークを導入する企業が増えてきていますが、全ての業務をリモート化できないのが現状でしょう。
主な要因は「 契約関連 」の業務にあります。
契約関連の業務では直接、書類に署名と押印しなくてはいけないため、出社する必要があります。
しかし、電子契約書を使った電子署名であれば出社の回数を減らすことができるでしょう。
電子署名を使うには電子署名サービスを利用することになりますが、かかる費用は選ぶサービスによって違います。
また、各サービスは費用がシンプルな場合も複雑な場合もあるため、今回の記事では「 電子署名の費用 」について深く掘り下げていきます。
電子署名にかかる費用や確認すべきポイントが分かる内容になっているため、電子署名導入の参考にしてみてください。
電子署名にかかる費用
最初に電子署名にかかる費用を見ていきましょう。
基本的には「 月額費用・送信費用 」の2つですが、サービスによっては追加で「 電子証明書発行費用 」が必要になります。
月額費用
電子署名を利用する場合に必要となる基本的なものとして月額費用があります。
月額費用は電子署名サービスに定額で毎月支払う費用になり、使える機能などによって料金に幅があります。
平均的に1万円/月ほどの電子署名サービスが多いですが、あくまで最安のプランになるので多くの機能は使えません。
また、電子署名サービスを使うユーザーのアカウント数でも月額費用が違ってくる場合もあるため、アカウントを増やすとそのぶん、月額費用も高くなることがあります。
多機能でアカウント数を増やせば、月に10万円を超えることも珍しくありません。
送信費用
送信費用は書類を送信する度に必要な費用です。
「 1件=〇〇円 」とされていることが多く、契約書1通につき50~300円ほどが相場の目安になっています。
ただし、ニンジャサインのように「 送信費用は無料 」という場合もあるので、自社に合った電子署名サービスを探しましょう。
送信費用は毎月の契約数が多い場合には思っているよりも高い費用になることもあります。
例えば、1件100円の送信費用がかかるサービスの場合、月の契約書送信数が100件であれば1万円かかることになります。
月額費用と合わせると2万円を超えることになるため、自社の契約書送信数なども考えて電子署名サービスを選ぶと良いでしょう。
電子証明書発行費用
電子証明書は電子署名の中でも本人の正当性を確保するために必要な書類です。
第三者機関が「 本人が署名したかどうか 」「 本人が契約書を作成したかどうか 」 を証明するための書類になります。
重要な契約書などでは電子証明書を添付する方法が一般的でしょう。
ただし、電子署名サービスによっては電子証明書の発行に5,000~10,000円ほどの費用が必要になります。
毎月、電子証明書を発行する必要がある場合には、考えている以上の費用がかかることになります。
ストレージの容量
電子署名では紙の書類を使わなくなるため、書類を管理するためにクラウドを使うことになります。
ただし、クラウド上に保存するには各電子署名サービスのクラウドに保存するため、容量にも注意する必要があります。
基本的な容量を超える場合には追加で費用がかかることが多いため注意しましょう。書類自体はパソコンにダウンロードして保存しておくことも可能です。
しかし、電子署名サービスで保管しておいたほうが、見直しの検索なども簡単になるため、基本的には電子署名サービスのクラウド保存がおすすめです。
紙の書類でかかる費用
続いて紙の書類でかかる費用を紹介していきます。電子署名はリモートワークなどの導入で検討する場合も多いですが、コストの削減を目的とする場合も多くなっています。
紙の書類では普段気にしていない費用もかかっているため、この項目を確認して自社でかかっている費用と比べてみてください。
紙・印刷費用
紙ベースの書類なので、紙や印刷の費用がかかります。また、書類を郵送する場合には郵送費用もかかってきます。
1ヶ月に数件程度の書類であれば大きな費用にはなりませんが、数十件から数百件になれば違ってくるでしょう。
電子署名の場合は紙を印刷することも郵送することもないため、大幅なコストの削減につながります。
印紙費用
契約書は金額や内容によって印紙税が必要になります。
細かく分かれていますが、基本としては内容が1万円を超えた場合に200円ほどの印紙税がかかることになります。
金額別になっており、契約内容が500万円を超えれば、印税も1万円を超えてくるため、企業によっては馬鹿に出来ない費用になるでしょう。
電子署名の場合には印紙税が必要なくなるため、月の契約数が多い企業にとっては大きなコストの削減になります。
関連記事:印紙税の基礎知識から印紙税を削減するためにすべきこと・理由
書類保管費用
紙の書類であれば棚や書庫などに保管することになります。
社内に収まるぐらいの書類の量であれば問題はありませんが、契約数が多い企業であれば、別に保管するための場所を確保する場合もあるでしょう。
電子署名の場合には、各電子署名サービスがサーバーのクラウド上に書類を保管できるようにしているため、保管費用はかかりません。
一定の容量を超える場合には追加でストレージを拡張する必要がありますが、10GBで1,000円ほどの費用になるため、書庫を借りるよりはコストを抑えることができます。
電子と紙の費用比較
電子と紙の書類の場合の費用を簡単に比較していきます。
電子 | 紙 | |
月額費用 | あり | なし |
印刷費用 | なし | あり |
送信費用 | あり | 郵送の場合はあり |
保管費用 | 基本的になし | 自社以外であればあり |
印紙費用 | なし | あり |
表だけを見ると一長一短という感じがすると思います。
電子署名自体は月額費用がかかるため、月の契約書数が少ない場合には反対にコストが上がってしまう場合もあります。
しかし、ニンジャサインのように月額費用が低く、送信料金もかからない電子署名サービスであれば違ってくるでしょう。
また、リモートワークには契約の電子化は必須になってくるため、コスト面で書類と変わらないのであれば、ニンジャサインなどの費用が安いものを導入してみてください。
電子署名のメリット
電子署名はリモートワークの導入だけではなく、業務の効率化などのメリットもあります。
主なメリットを解説していきます。
業務の効率化
一番は業務の効率化でしょう。電子署名を導入することでリモートワークやテレワークも可能になります。
新型コロナの感染拡大でも契約業務などであれば出社する必要があったはずです。しかし、電子署名を導入すれば、出社する必要が減るため、よりリモートワークの促進につながるでしょう。
また、契約書の作成も電子署名サービスの中で一貫して行えるため確認業務も簡単になり、結果として業務の効率化につながります。
コンプライアンスの強化
紙の契約書などでは内容の改ざんや紛失など、さまざまなリスクがあるものです。
電子署名の場合には電子証明書やタイムスタンプなどで改ざんの防止ができます。
また、保管もサーバーのクラウド上になるため、紛失のリスクが少ないのも特徴でしょう。電子署名を知らない場合には、紙の契約書よりもリスクが高いと考えられがちですが、実際には反対です。
改ざんの防止も紛失も紙の契約書よりもリスクが低くなるため、コンプライアンスを強化したい場合には導入すべきシステムです。
電子署名のデメリット
電子署名はメリットばかりではなく、デメリットも存在します。まだ浸透しきっていないシステムなので社内外の理解がなければ、使うのも難しくなってしまうでしょう。
社内外の理解が必要
最初に社内や取引先の理解が必要なことがデメリットの1つになるでしょう。
今までに紙の契約書で業務を進めてきた場合には、社員にとっても大きなシステム変更になるため反対意見が出る可能性があります。
まずは社内で電子署名に移行する理解を得る必要があります。
もう1つは取引先の理解でしょう。
取引先も契約書が紙からデジタルに切り替わると業務に多少の変更が生じてしまいます。取引先がデジタルへの移行を理解してくれなければ電子署名化を進めることは出来ません。
契約数が少なければコストが上がる
電子署名サービスは月額料金が基本料金として毎月かかってきます。毎月の契約書数が少ない場合には月額料金と見合わない可能性もあります。
例えば、リモートワークやテレワークを促進するのが一番の理由なのであれば問題はありません。
しかし、コスト削減のために導入を考えているのであれば、現在の契約数なども視野に入れて導入を考えましょう。
電子署名サービスの選び方
電子署名サービスは多くの企業が展開しています。
各社、様々なサービスがありますが、特に押さえておきたいポイントを解説していきます。
関連記事:電子署名の仕組みを簡単に理解するために必要な基礎知識
月額費用だけではなく送信費用も確認
電子署名サービスは月額費用がかかりますが、他にも送信費用がかかります。
送信費用は契約書などの書類を送信する度に発生する費用です。
1件あたり50~300円ほどが平均的でしょう。しかし、ニンジャサインのように送信費用が0円の場合もあります。
電子署名を使う場合には確実に契約書などを送信することになるため、送信費用は確実に必要になる費用の1つです。
例えば、送信費用が50円の場合は月に100件の契約書を送信すると5千円ですが、300円の場合には3万円と小さな差ではありません。
電子署名サービスを選ぶ際には月額だけではなく、送信費用も必ず確認しましょう。
セキュリティを確認
電子署名はその名の通り「 電子で行う署名 」です。
紙の契約書よりもコンプライアンスの強化になると解説しましたが、電子署名サービスがしっかりとしたセキュリティ対策を行っている場合です。
主に3つのポイントが重要になってきます。
- タイムスタンプ
- 電子証明書
- 暗号化
タイムスタンプは書類が改ざんされていないことを証明し、電子証明書は印鑑証明の代わりになります。
暗号化は契約書などの文書を暗号化して送信することで第三者の改ざんを防止する機能と言えるでしょう。
電子署名サービスを選ぶ際には特に上記の3つに注目してください。
使いやすさを確認
電子署名サービスは管理画面などの使いやすさも重要です。
ほとんどの方は初めて使うシステムになるため、使い方が複雑であれば使いこなすことが出来ず、使わなくなってしまうこともあります。
例えば、一番よく使う契約書の作り方が複雑であれば時間がかかり業務の効率化にはつながりません。
説明がなくても使えるような管理画面が理想でしょう。
おすすめの電子署名サービス
最後におすすめの電子署名サービスを紹介していきます。
代表的なものを全部で3つ紹介しますが、「 費用・セキュリティ・使いやすさ 」に焦点をあてていきます。
NINJASIGN( ニンジャサイン )
出典:ニンジャサイン
月額料金 | 4,980円〜 |
送信料金/1件 | 0円 |
セキュリティ | タイムスタンプ・暗号化 |
使いやすさ | ◎ |
公式サイト | NINJASIGN(ニンジャサイン) |
ニンジャサインは2019年に登場した比較的新しい電子署名サービスです。
料金の安さだけに注目されがちですが、セキュリティや管理画面の使いやすさなど、バランスの取れた電子署名サービスになっています。
送信料金も0円なのはかなり珍しく、スタートアップやベンチャー企業にはぴったりの電子署名サービスと言えるでしょう。
また、契約書のアップロードにはPDFを使うことがほとんどですが、ニンジャサインではGoogleドキュメントに対応しています。
契約書に変更が生じた場合にも、Wordから作り直してPDFに変換する必要はなく、Googleドライブから編集してアップロードできます。
ニンジャサインは料金の安さだけではなく、使い勝手もかなり良いため、初めて電子署名を使う場合や現在の電子署名が使いにくい場合に導入を検討してみてください。
CLOUDSIGN( クラウドサイン )
出典:クラウドサイン
月額料金 | 10,000円〜 |
送信料金/1件 | 200円 |
セキュリティ | 電子証明書・タイムスタンプ・暗号化 |
使いやすさ | ◎ |
公式サイト | CLOUDSIGN( クラウドサイン ) |
電子署名サービスの中でも知名度が高いのがクラウドサインです。
月額料金は10,000円からとニンジャサインと比べれば割高に感じますが、電子署名サービスの平均的な料金になっています。
送信1件ごとに200円かかるため、契約書が多い企業であればかかる費用が高くなってしまうでしょう。
ただし、アカウント数が無制限なので、多くの人数で電子署名サービスを利用する場合には使いやすくなっています。
また、セキュリティ面も基本的なものは全て備えているため問題ありません。
BtoBプラットフォーム契約書
月額料金 | 10,000円〜 |
送信料金/1件 | 50円 |
セキュリティ | 電子証明書・タイムスタンプ・暗号化 |
使いやすさ | ◯ |
公式サイト | BtoBプラットフォーム契約書 |
契約書の送信料金が低めの設定になっている,BtoBプラットフォーム契約書です。
ただし、月10,000円のシルバープランでは機能制限が多く、書類の保管も月に3件までとなっています。
機能や書類の保管数を制限なく使いたい場合にはゴールドプラン(30,000円 )を選択するほうが良いでしょう。
セキュリティ面も問題はなく、一般的な内容は全て揃っています。
【まとめ】電子署名でコストの削減を
今回は電子署名にかかる費用を中心に解説していきました。新型コロナの影響でリモートワークやテレワークが促進され、契約などの書類もリモートで対応できるものが注目されています。
電子署名はリモートを可能にするだけではなく、コストの削減や業務の効率化、書類の保管など、様々なメリットがあります。
これからますます進むことが予想される電子化のためにも、今から電子署名を検討してみてはいかがでしょうか。