皆さんはYouTubeのモバイルアプリの仕様変更があったことに気がついていますでしょうか。
普段使うことが少なかったり、音楽を聴くのをメインに使っていたりする人は気がついていないかもしれませんが、YouTube本部のあるアメリカで10月26日に大幅なアップデートがあったのです。
これにより、YouTubeには新機能が5つ備わったのですが、一体どんな機能で、私達にどんなメリットがあるのか気になるところ。
今回は、YouTubeの大型アップデートの概要と新機能5つをご紹介。
また、なぜモバイル版だけが大幅アップデートされたのかを、今後のYouTubeの担う役割とともに説明していきます。
2020年10月末に大幅アップデート
2020年10月末日、モバイル版YouTubeアプリが大型アップデートされました。
本部のあるアメリカの時間で26日、日本では27日深夜に当たりますが、真夜中のアップデートだけに気がついた人は少なかったのではないでしょうか。
YouTubeはたびたび新機能を実装してアプリのアップデートを行います。
多くは先行してベータ版として公開されており、実装されることで一般ユーザーも使えるようになるというパターンもあります。
代表的なものに「 投げ銭 」で知られるスーパーチャット機能があるのですが、意外と知られていないことが多いです。
実際に使用している中である日突然「 あれ、なんか違う… 」と違和感を覚えて初めて気がつくというパターンも多いでしょう。
それぐらい大きなアップデートではなく、説明を受けないと気が付かないようなアップデートもあるわけです。しかし、今回のアップデートは、特に再生画面を開けばすぐにわかる、文字通りの大型アップデート。
気が付かなかった人もこの記事を読んで使いこなしてもらえればより便利にYouTubeを楽しむことができるようになるでしょう。
対象はモバイル版YouTubeのみ
いつもであれば、パソコン版とモバイル版のアップデートが一気に行われるか、今回とは逆のパソコン版のみのアップデートが行われることが多いです。
しかし、今回はモバイル版のみのアップデート。もちろんこれには理由があります。
皆さんは普段、YouTubeを見る時に使うデバイスはなんでしょうか。一昔前まではパソコン一択だったはずです。それもそのはず、YouTubeはもともとパソコンで楽しむコンテンツだったからです。
しかし、現在はパソコンよりもスマートフォンやタブレット端末で視聴する人のほうが多い現状があります。
スマートフォンもタブレットも通信速度や画質が向上しています。今や国民の2/3がスマートフォンを持っている現代において、視聴するためのデバイスはパソコンからモバイル端末に移行してきているのです。
今回のアップデートの理由は他にもありますが、視聴のツールがパソコンから変わってきたことも今回のモバイル版の大型アップデートに影響しているのです。
その他の理由については、のちほどお話します。
アップデートされたYouTubeモバイル版の新機能5つ
では、今回のYouTubeモバイル版で実装された新機能5つをご紹介しましょう。
気がついている人、気がついていない人さまざまでしょうが、これを機にぜひ使い始めてみましょう。思いのほか有効に活用できる機会があるかもしれません。
なお、以下のGIFや画像はすべてYouTubeの公式Twitterである「 @TeamYouTube 」が公開したものです。
全文英語ですが気になる人はチェックしてみてもいいでしょう。
フルスクリーンモードが上スワイプに変更
フルスクリーンモードに切り替える方法が変更になりました。
今回のアップデートにおける目玉機能のひとつで、従来よりも使いやすくなった印象を与えます。
特に左利きの人にとってはますます利便性が向上したのではないでしょうか。
引用:「 YouTube公式Twitter 」
今までは画面右下のアイコンをタップする必要があり、押し間違えることも多々あったのではないでしょうか。
今回のアップデートによってフルスクリーンモードに切り替えるのにアイコンをタップする必要はなく、再生画面で画面を上スワイプするだけ。
画面を普通に切り替えるには下向きのスワイプをするだけ。とても手軽になりました。では従来あったボタンは廃止になったのかと言うと、そうではありません。
アップデート後もこのボタンは残っており、スワイプでもタップでも好きな方で画面表示の切り替えができるのです。
好みに合わせて使い分けましょう。
オーバーレイボタンの位置変更と新機能
画面の上部に再生ボタンのようなものが動画再生中に表示されるようになりました。これはオーバーレイ・ショートカットのボタンで、字幕の切り替えなどができるようになりました。
その他にできるようになったことは以下の通りです。
- 字幕のオン・オフ
- 次の動画の自動再生のオン・オフ
- 経過時間と再生時間の切り替え
今まで再生画面外にあり、最大化して再生しているときにはわざわざ標準の動画サイズに戻してから設定する必要がありました。その手間が省けるようになった新機能と言えます。ユーザービリティが向上しています。
引用:「 YouTube公式Twitter 」
ただ、一方で嬉しくないアップデートも。
それは、タイムラインでタップを使って動画をスキップするのができなくなったことです。従来のバージョンであれば、見たいタイムラインをタップすればすぐにその場面にジャンプしていました。
しかし、今回のアップデートでその機能が削除。
見たい場面まで動画を早送りするには、画面右側をダブルタップして10秒ずつ進めるか、その場面まで指でドラッグする必要があります。巻き戻しも同じで、少々手間がかかるようになってしまいました。
動画チャプター・メニューが変更
動画チャプター画面も一新されました。今回のアップデートでもっともユーザービリティを向上させた新機能といってもいいでしょう。
引用:「 YouTube公式Twitter 」
今までのバージョンでは、視聴したい部分までタイムラインをドラッグする必要がありました。
しかし、今回のアップデートを利用すると、チャプターごとに設けられたサムネイルとタイトルが一覧になって登場。
見たい場面のサムネイル、もしくはタイトルをタップすれば動画がそこから再生されるという機能です。
今回廃止された動画をスキップする方法に変わる機能として実装されましたが、これを利用するにはクリエイター側がこの設定を細かくしておく必要があります。
ただの1本物の動画で設定されていない場合にはこの機能を使うことはできません。
今年に入って実装され、今回のアップデートでモバイル版でも使用できるようになっただけに、クリエイター側はユーザービリティを上げるためにも設定しておくべきでしょう。
一瞬で見たいシーンへジャンプできる新機能。間違いなく利便性は向上しているといえます。
推奨アクションの表示
細かな仕様変更かもしれませんが、推奨アクションと呼ばれる通知が出てくるようになりました。
これは、視聴している動画をより楽しむためにはVR視聴がいいのか、はたまたフルスクリーンモードがいいのかなどをアドバイスしてくれる機能です。
引用:「 YouTube公式Twitter 」
昨今の動画事情は徐々に変わりつつあります。
そんな中にあって、動画をより楽しむ方法が多様化しているのもまた事実。しかし、実際にそんなことを意識しながらYouTubeを見ている人はまだまだ少ないでしょう。
そこで、よりYouTubeを楽しんでもらうために実装されたのが推奨アクション表示機能というわけです。
もちろん、VR視聴をするには専用の道具が必要ですし、フルスクリーン視聴であれば端末の画面回転機能の設定など、
付随する物や設定を完了する必要はあります。
ですが、普段意識していない楽しみ方を進められ、かつそれを楽しめるチャンスなのでぜひ一度試してみてはどうでしょうか。
ベッドタイムリマインダー
ついつい長時間視聴してしまいがちのYouTubeを、強制的に終わらせるには「 ベッドタイムリマインダー 」を使いましょう。
引用:「 YouTube公式Twitter 」
外出先だけではなく、家でも楽しめるモバイル版YouTubeですが、見始めると止まらない。明日の朝早いのがわかっていてもなかなかやめられない気持ちも十分わかります。
ですがそれが続いていくと慢性的な寝不足になったり、視力が低下したり、最悪の場合スマートフォンから発せられるブルーライトで人体そのものに悪影響が出たりすることもあります。
そうなる前に、自分で寝る時間を決めてベッドタイムリマインダーを設定しましょう。決まった時間になるとYouTubeが強制的に終了。いいところでも容赦なく止まります。
YouTubeが原因で健康を損なわないためにもぜひ活用しましょう。
なぜモバイルだけ?YouTubeの大幅アップデートの理由
非常に有用な機能が追加された今回の大幅アップデート。なぜ今回はモバイル版だけアップデートされたのでしょうか。
そこには、今後のYouTubeを取り巻く環境の変化が深くかかわってきています。これからクリエイターとして動画配信する人は特に注目すべき内容です。
この章では、モバイル版YouTubeだけが大幅アップデートの対象になった理由を3つご紹介します。
5G通信によるコンテンツの増加
まず、今回のアップデート最大の理由となるのは5G通信の普及を見据えた試験運用でしょう。
今でこそエリアが限られていますが、大手携帯キャリア3社はすべて2023年を目標に5G通信可能エリアをほぼ国内全域にすると明言しています。
つまり、これから先の時代、5Gが私たちの使う通信技術においてスタンダードとなるのです。5Gは通信環境の安定性と、速い通信速度から、今のネット社会を変えるとまで言われています。
その好例としてYouTubeが挙げられているのです。
どういうことかというと、今後の検索ツールには、GoogleでもYahoo!でもなくYouTubeが使われる場面が増えると予測されているから。
安定した通信環境で、より高速の通信が可能の5Gを駆使すれば、それまで文字で追っていた情報を動画で手にすることができます。そんな環境にもっとも適しているのがYouTubeというわけなのです。
実際、YouTubeの運用方法については複数の記事が5Gの情報と組み合わされて公開されています。3秒で2時間の映画をダウンロードできる時代がすぐそこまでやってきているそんな中でYouTubeを無視することはできません。
間もなくやってくるであろうYouTubeの検索エンジン化に備えたものとして、今回のアップロードがあったとも考えられます。
モバイル端末の普及
純粋のパソコンよりもスマホ端末の普及が理由とも考えられる今回のアップデート。
スマートフォンに関して言えば、国民の2/3がスマートフォンユーザーの現在、モバイル版アプリに力を入れない理由はありません。
YouTubeに限った話ではないのですが、もとがパソコンメインのコンテンツだっただけに、今回のアップデートでそのイメージを払拭したような印象も受けます。
その理由は、アップデートされたのはモバイル版のみという点です。
YouTubeのアップデートは普通、モバイル版もパソコン版も同時に行われます。しかし、YouTubeを視聴するツールはパソコンではなくスマートフォンを中心とするモバイル端末が主流。
今までどおりパソコン版に力を入れたアップデートだけでは、ユーザーがモバイル版に何かしらの不便を抱えたままになってしまいます。そこで今回のアップデートでモバイル版YouTubeに力を入れたと考えられます。
先にお話した5Gの恩恵も、主に受けられるのはモバイル端末。これからのさらなる需要拡大を見込んだアップデートといえそうです。
Googleの検索順位にもモバイルが影響するようになった
最後の理由は、主に収益化を狙うクリエイターにとって大きな影響を与えた「 モバイルファースト 」、つまりモバイル優先の検索順位が影響している可能性があるというお話です。
モバイルファーストは今に始まった話ではありません。
実は2015年からGoogleはすでにモバイルファーストに切り替える意向の声明を発表しており、スマートフォン向けのサイトがないと検索順位が下がるとしていました。
2020年9月にはモバイル版で最適化されないサイトの検索順位が下がる仕様が本格的に導入されたのです。
今回のYouTubeのアップデートにもこの考え方が適用されている可能性があり、いよいよ本格的に検索順位がモバイルファーストに切り替わることになるでしょう。
YouTubeが検索エンジンとしての役割を果たすようになるといわれる5G時代の到来に合わせてのアップデートとも考えられますが、今のところYouTubeの検索順位に関してモバイルファーストの話は出てきていません。
これからはYouTubeの検索順位にもこの考え方が導入されることが考えられます。Google傘下のYouTubeにモバイルファーストが導入されるのも時間の問題と考えていいでしょう。
クリエイターは自身の動画やチャンネルの検索数が向上するための工夫がより一層必要となるでしょう。
まとめ
モバイル版YouTubeのアップデートについて、仕様変更の内容とその理由についてお話していきました。
ユーザービリティを向上したYouTubeのアップデートにより、クリエイター側は今後のYouTube運営の仕方も変わってくるでしょう。
もちろん視聴する側にとって、機能が追加され便利になったことはうれしいポイントです。
しかしクリエイターにとってみれば、アップデートの裏側にある事情を考慮しなければ、自身の動画やチャンネルが淘汰されていく、可能性もあります。
細かいことかもしれませんが動画内キャプチャーを設定する、アップロードする動画の画像サイズや画質の考慮を今まで以上にする必要があるでしょう。
視聴者は今回のアップデートを十分に生かして、クリエイターはライバルに負けないような配慮をして、双方が満足いくYouTubeの形を作っていきましょう。
モバイル版YouTubeの大型アップデートには、未来のYouTubeの新しい形があるのです。