多様な働き方が広がっていく今日では、特定の会社に属さないフリーランスが色々な業種で活躍するようになってきています。
コンサルタントもその1つで、独立してやっていけるだけのスキルを持ってさえいればフリーランスで稼ぐことは充分に可能です。
コンサル企業に勤めている人でも、「 いきなりフリーランスになるのは少し不安 」と感じるかもしれません。あるいは「 フリーランスのコンサルって、どういう仕事なの? 」と気になる人も多いでしょう。
この記事を読むことで、
・フリーランスコンサルの特徴
・フリーランスコンサルの仕事の取り方
・確定申告など、フリーランス独立の際に気をつけるべき点
を知ることができます。
コンサルの定義
まず、そもそもコンサルとはどういった仕事なのか?という定義について知っておきましょう。
『 個人または組織からの依頼に基づき、彼ら( クライアント )の抱える固有の問題や課題について、自らが持つ知識・経験・情報・ノウハウ等をもって解決をサポートする存在 』
( 出典:https://studying.jp/consul/about-more/overview.html )
コンサルは基本的にクライアントワーク( 顧客の要望に沿って働く )であり、顧客が抱えている悩み・課題を解決するために活躍します。
顧客からすれば、単に話を聞いてもらうだけに止まらず、そこから解決策・今後のアプローチ策を提案してもらうことを期待しているはずです。
したがってコンサルは、
・顧客が置かれている状況を理解する力
→顧客の事業について知っておく。業界全体の動向も押さえる。
・解決策を導き出す力
→何が問題点なのかを明確にし、仮説検証を経て調べていく。
・解決策を顧客にうまく伝える力
→顧客に理解してもらえるように、分かりやすく伝える。コミュニケーション力も求められる。
これらのスキルが必要となってきます。
単に「 知識が多い 」「 戦略フレームワークをたくさん知っている 」というだけではコンサルの仕事は務まりません。
そしてコンサルといっても種類が多いため、自分の得意分野に特化してコンサル活動を行っていくのがおすすめです。( 次の見出しで紹介します )
フリーランスコンサルの具体的な種類
フリーランスコンサルの求人を探してみるとよく分かるのですが、コンサルの種類は豊富であり、ここで挙げているのはごく一部です。
経営コンサル
経営上の問題全般について、解決策を提示します。しかし経営と一口に言っても内容は様々です。
もし顧客が「 Aという分野を解決したい 」と具体的に分かっているなら、Aに詳しいコンサルタントに依頼するはずです。
経営コンサルに頼む場合の状況というのは、「 経営のどこに問題があるのか、よくわからない 」ケースが考えられます。
なので、経営コンサルには、経営全般の総合的な知識が求められるでしょう。
起業経験のある実業家が経営コンサルとして活躍することもしばしばあり、顧客には中小企業主・個人事業主が多いようです。
一方で大手企業の場合は、有名なコンサルティング企業( PwCなど )に依頼することが多くなっています。
IΤコンサル
ITを用いた経営課題の解決ではITコンサルが活躍します。
人手不足が続くとどうしても現場のマンパワーが減ってしまうので、業務効率化のためにITを活用する企業は多いです。
・新たにシステムを導入したい
・既存のシステムを新しいものに変えたい
ITコンサルはこれらの要望を受けて、「 この課題を解決するなら、◯◯の要素を持ったシステムが良いだろう 」と顧客に提案します( 要件定義 )。
システムを提案するにはコンサル側が専門知識を持っていないといけないので、そういった意味では「エンジニア寄りのコンサル」とも呼べるでしょう。
とはいえ、ITコンサルがプログラマーのように実際にコードを打つことは稀で、顧客とのコミュニケーション作業が基本となります。
Webコンサル
ある意味でこちらもITコンサルと呼べそうですが、Web・インターネット・SNS分野を強みとしたコンサルも存在しています。
今日では、企業が売上UPを図る上でWebの活用は欠かすことができません。
事業内容を分かりやすく説明するためのサイト構築やSNS運営。ネットを閲覧するユーザーのためにWeb広告も打っていく必要があるでしょう。
テレビで宣伝するとなるとかなりの費用を要しますが、Web上の宣伝であれば小規模企業でもハードルは高くありません。
検索エンジンで上位表示させるための知識( SEO )や、SNS運用戦略に長けたコンサルが注目を集めているのはそのためです。
人材・人事コンサル
・組織の構造をどうするのか
・どういった人材が必要か
・評価基準をどう定めるか
などの人事戦略に特化したコンサルタントも存在します。
企業で人事に関わる仕事をしていた人が、独立後にコンサルとして活躍する例も散見されます。
「 人事に関する課題 」といっても種類が様々なので、「 私の強みはこれです 」と明確にアピールしていくと仕事を取りやすいでしょう。
PM・PMOコンサル
・PM = プロジェクトマネージャ
・PMO = プロジェクトマネジメントオフィス
のことを指します。
各プロジェクトの責任者として現場を統率していくPMや、複数プロジェクトを包括的に管理するPMOは、企業にとって貴重な人材です。
PM・PMOのスキルを持った人材を自前で全て賄うのは難しく、外部のフリーランスの力を借りることも多くなっています。
フリーランスコンサルの求人でもPM・PMO系の仕事は案件数が多く、スキルを持てば継続的に案件確保が狙えるでしょう。
フリーランスコンサルの仕事の特徴
フリーランスと聞くと「 自由に働ける 」というイメージが強いかもしれませんが、フリーランスコンサルの場合はどうなのでしょうか?
適応力が試される
会社員コンサルの場合、同じ会社の人とチームを組んで仕事をしていくことが多いです。
しかしフリーランスだと「 1人でプロジェクトに参画し、周囲の人々と協力していく 」がメインとなります。
何かあったときに頼りにできる先輩がいるわけでもないので、尚のこと現場にうまく適応することが求められます。
フリーランスは即戦力で入ることになるため、そのプロジェクト内での人間関係に溶け込んで行かないとスムーズに活躍することは難しいでしょう。
長期で働けるものが多い
フリーランスの他の職種と比べ、コンサル案件は「 数ヶ月〜半年 」くらいのスパンで募集している求人が多くなっています。
常駐型のエンジニアもそうですが、数ヶ月にわたってまとまった報酬を得られるため、フリーランスとしての収入は安定しやすいといえます。
「自分のペースで働く」は難しい?
長期間にわたり現場に入っていくことになるので、案件を担っている間はプライベートを確保しにくいでしょう。ほとんどのコンサル求人では在宅ワークは事実上不可能だと思った方が良いかもしれません。
Web系コンサルなら「 完全リモートOK 」といったものも見つかるかもしれませんが、一般の経営コンサル・PMO系案件であれば常駐が基本となります。
コンサル求人の単価を上げていけば、「 半年働いてもう半年は休む 」といったライフスタイルも可能になるかもしれません。
フリーランスコンサルの将来性
フリーランスが抱く不安要素の中でも多いのが、「 将来もこのまま稼いでいけるかどうか 」でしょう。
会社員であれば基本的に継続雇用が前提となっており、よほどのことが無ければ途中で解雇はされません。
一定の年齢を境に早期退職募集が行なわれる例も近年では増えていますが、やはり安定性でいうとフリーランスよりも恵まれています。
コンサルの将来性についてですが、市場規模はここ数年広がり続けており、IDC Japanは『 2023年に至るまでも成長していくだろう 』との見方を示しています。
( 参考記事 )
国内コンサルティングサービス市場、2023年までの年間平均成長率5.4%で2023年には9,969億円に――IDCが予測
https://enterprisezine.jp/news/detail/11888
しかしこれは、フリーランスコンサルとして絶対安定…というものではありません。フリーランスも自己成長していくことが求められています。
・市場において必要とされるスキルを確かめ、身につける
・需要に沿ったスキルを元に、仕事を得ていく
・実績を積み上げ、次の仕事へ繋げる
単に目の前の仕事を片付けていくだけでなく、最新のビジネス動向について勉強していくことも怠ってはいけません。
フリーランスコンサルになるステップ
フリーランスコンサルになるにはどういった手順を踏んで行けばいいのか、解説します。
未経験でいきなりフリーランスは難しい
フリーランスコンサルの仕事は即戦力を前提とされ、会社員のように新人研修もまずありません。未経験だとそもそも案件受注にすら至らないでしょう。
プロフェッショナルが求められるので、コンサル経験が皆無ならまずは仕事の流れを学ぶことが必要となります。
コンサル会社での経験→独立という形が多い
初心者がコンサルの仕事を学ぼうと思った場合、やはりコンサル企業に就職するのが一番です。現時点で学生ならコンサル業界を中心に就職活動を行い、社会人であれば転職を狙っていきましょう。
実のところ「 未経験でコンサル就職 」は珍しくありません。新卒はもちろんのこと、中途採用でもです。
『中途採用でコンサルティングファームへ転職する方はほとんど未経験の方ばかりです。
実際、未経験者の採用における割合はファームによって異なりますが、弊社支援実績やその他の情報をまとめますと、大手コンサルティングファームで約8.5割が未経験者( 事業会社出身者 )となっていました。』
( 引用元 )
【必見】未経験からコンサルティングファームへの転職 その対策方法とは?https://www.movin.co.jp/special/mm_special18.html
コンサルの仕事の流れは書籍等でも学べるかとは思いますが、将来的にフリーランスでやっていくことを考えるとやはり実務経験は必要です。
コンサルに特殊な資格はいらない
フリーランスコンサルとして働く場合、「 この資格を持っておけばOK 」というのはありません。
英語系の資格などが業務で役立つことは勿論ありますが、あくまでも重視されるのはコンサル実績です。
フリーランスデビューするときに気になること
フリーランス独立するにあたって気になるポイントをまとめました。
屋号はどうするのか?
屋号とは、個人事業主が事業を行う上で用いる名前のことです。
個人として本名で仕事をするのなら、屋号は必要ありません。
もしフリーランスコンサルが屋号を付けて仕事するなら
1.コンサル系の名前にする(『 ◯◯コンサルティング 』など )
2.シンプルなネーミング、しかし量産型すぎない(覚えてもらいやすい、検索でHitされやすい)
の2点を意識しておくと良いでしょう。
確定申告は?
会社員だと税関連のことは企業がやっていてくれたかもしれませんが、フリーランスだとそうはいきません。
フリーランスにとって確定申告は収入を証明する手段にもなるため、欠かさず済ませましょう。
まず、確定申告が必要となる条件について解説します。
1:.給与の年間収入金額が2,000万円を超える
2:1か所から給与の支払を受けており、給与所得および退職所得以外の所得金額、合計額が2万円を超える
3:2か所以上から給与の支払を受けており、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得、及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える
( 参考:国税庁公式HP )
これ以外にも基準は多くありますが、上記3点がメインになります。
フリーランスで1年間活動した場合、「 1つのクライアントとしか仕事をしていない 」というのは稀です。報酬の支払い元が複数箇所あるなら、確定申告が必要になります。
趣味の延長で案件をこなすのなら別かもしれませんが、フリーランスとして日常的に活動していれば20万円はすぐに超えてくるでしょう。そのため基本的に「 フリーランスは全員、確定申告が必要 」と考えてOKです。
仕事は取れるのか?
フリーランスは仕事が取れないと収入ゼロになってしまうので、継続的に案件を取れるようにすることは重要です。
すぐに独立するのではなく、あらかじめエージェントサイト等をチェックして「 自分のスキルでフリーランスになれそうか 」を見ておくのがお勧めです。
仕事の獲得方法について、詳しいことは次の見出しで解説します。
仕事の獲得方法
フリーランスコンサルが仕事を取っていく方法として、3つ紹介します。
クラウドソーシング
画像引用元:「 クラウドワークス 」公式HP
クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサイトは、単発の仕事を手軽に見つけられるのが強みです。
日々たくさんの仕事が更新されているので、こまめにチェックしておくと良いでしょう。
欠点は、システム手数料は高めなこと。金額に応じて5〜20%が報酬から差し引かれてしまいます。
報酬が高いほど手数料の額も大きくなってしまうので、より稼いでいくのであれば別の販路を探っていくのがお勧めです。
参考:クラウドワークス 公式HP
参考:ランサーズ 公式HP
エージェントサイト
エージェントといえば転職系が有名ですが、フリーランス向けの求人エージェントも数多く存在しています。
数ヶ月単位での長期案件が多く、1から自分で仕事を探すよりも楽でしょう。
また、エージェントサイトごとに福利厚生・税理士サービスなどのサポート面も用意されており、フリーランスの活動を多面的に支えてくれます。
ツテを活かす
・過去の取引先との継続案件
・フリーランス仲間から仕事を紹介してもらう
・会社員時代に知り合った人からの依頼
フリーランスにとって、1つ1つの活動すべてが営業活動になり得ます。
信頼値を上げていくことが安定して稼げるフリーコンサルとして重要です。
フリーコンサルエージェントの比較
エージェントサイトから3つ、ピックアップして紹介します。
フリーコンサルタント.jp
画像引用元:「 フリーコンサルタント.jp 」公式HP
- 全体の41%が3ヶ月以上の長期案件
- 収納代行サービス「 FREENANCE 」を用意。フリーランスの資金繰りを助ける。
- コンサルタント交流会「 みらコミュ 」を毎月1回開催
運営会社は東証マザーズに上場している「 みらいワークス 」で、安心さをウリにしています。
掲載している案件数は一見少なく感じますが、非公開案件も紹介されているのでコンサル登録してみると良いでしょう。
ハイパフォコンサル
画像引用元:「 ハイパフォコンサル 」公式HP
- IT系の案件に強い
- 直請け案件が多数存在
- 福利厚生・税理士サポートあり
「 登録者の声 」から、ハイパフォコンサルを実際に使ってみた感想を見ることができます。
フリーランスは経理面での事務作業が増えがちですが、税理士サポートを使っていけば負担を減らしていけるでしょう。
コンサルポータル
画像引用元:「 コンサルポータル 」公式HP
- コワーキングスペースの存在
- 独立起業サポート
コンサルポータルは、上の2サイトと比べ案件概要・スキル項目がより細かく記載されている印象です。自分にあった案件を見つけやすいでしょう。
登録者に向けてコワーキングスペースが提供されており、ビジネスでの会合等に活用することができます。
フリーランスコンサルの収入・相場について
フリーランスコンサルはどれくらい稼げる職業なのか、平均収入と比べつつ解説します。
実際の案件例も3つ記載していますが、詳細は各エージェントサイトを調べてみるのがオススメです。
コンサル全体の平均収入
ジャンルにもよりますが、コンサルタントの平均年収はおよそ600万円です。
日本人全体の平均収入が440万円ほどなので、コンサル職は比較的稼げる職業であると言えるでしょう。
フリーランスの中でも収入は高め
『 フリーランス白書2019 』から、コンサル系の収入について引用します。
『 年収 800 万円以上のフリーランスの割合を見てみると、ビジネス系で 23.7%、IT・エンジニア系で21.6%、コンサルタント・カウンセラー系で 17.0%、専門・士業系で 30.4%となっている 』
(『 フリーランス白書2019 』より)
このことから、フリーランスの業種の中でもコンサル系は収入が高めであるといえます。
エージェントサイトでコンサル求人を探すと「 100〜150万/月 」あたりの案件が多く単純計算すると、年収で1,200〜1,800万となり、平均年収を大きく上回ります。
フリーランスの年収に制限はないので、もっと稼いでいくこともできるでしょう。
案件例
実際の案件例を見ていきましょう。
PMO案件
参考:業務変革プロジェクト
この案件では「 大規模プロジェクトでのPM経験があるコンサルタント人材 」が人材要件となっています。
東京23区内だけでも豊富なPM/PMO案件があるので、都心在住のコンサルはフリーランスとして活躍しやすいでしょう。
フリーコンサルタント.jpの場合、PMO案件は100〜150万円/月が基本です。
人事コンサル案件
「 労務の経験・人事組織でのマネジメント経験 」がスキルとして挙げられています。
一般企業の人事課で活躍していた人でも、人事コンサルとしてフリーランス独立することは可能です。
コンサルポータルで人事系の案件を調べると、「 期間は3ヶ月〜6ヶ月・報酬は100〜150万/月 」のものが多くなっていました。
経営戦略
戦略系のコンサル求人は種類が非常に多くなっています。
PMなどその他のカテゴリーにも言えることですが、自分の専門性と案件概要がマッチしているかどうかは細かく確かめておきましょう。
「 コンサルティングファームでの経験が5年以上ある人材 」が人材要件として挙げられています。報酬は140万〜160万円/月です。
まとめ
未経験でいきなりフリーランスコンサルになるのは困難です。
コンサルは高い報酬を手にできる一方で、継続的に案件をとっていくなら確かな実績とスキルが欠かせません。
まずは転職などでコンサル会社に入り、実務経験を積んでいくのがおすすめです。
フリーランスになると営業活動や確定申告といった苦労もありますが、会社員時代よりも時間を自由に使いやすくなるはずです。
近年はコンサルに限らずフリーランスの知名度も上がってきているので、今後はさらにフリーランスで働きやすい世の中になっていくことでしょう。
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