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【どうなる?】DXの5つの課題と解決策

皆さんは、「 DX( デジタルトランスフォーメーション ) 」という言葉を聞いたことはありますか?

2018年9月7日に経済産業省がデジタルトランスフォーメーションに関する資料を発表して以来、ビジネスの現場では「 デジタルトランスフォーメーション 」や「 2025年の崖 」というキーワードが注目されるようになりました。

そうした経緯もあり、近年ではデジタル技術を活用して、業務の効率化や生産性の向上を図りたいと考える企業が増えてきています。しかし正直に言うと、DXを実現することは簡単ではありません。

今回は、初心者の方でも分かりやすくDXについて解説しながら、企業にとって想定される課題と打つべき対策についてまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

DX( デジタルトランスフォーメーション)とは?

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デジタルトランスフォーメーション( Digital Transformation )は、略して「 DX 」と表記されます。

これはスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「 ITテクノロジーが、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる 」ということを意味しています。

DXが誕生したのは2004年で、日本国内にその概念が広がったのは2018年12月。経済産業省がまとめたガイドラインがはじまりでした。

当時はマーケティング分野でのトレンドだと考えられていましたが、今ではDXに対応することはすべての産業で重要だと言われています。

経済産業省は次のように説明しています。

企業が外部エコシステム( 顧客、市場 )の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム( 組織、文化、従業員 )の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム( クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術 )を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

引用:『DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

これだけ見ると少し難しい話に感じてしまうかもしれませんが、スマートフォンに搭載されているカメラを例に挙げると分かりやすいです。

数年前までは、一眼レフカメラやデジカメなどの高機能なカメラを所持していた人も多かったと思います。

しかし、スマートフォンに搭載されているカメラの高性能化に伴い、一眼レフカメラを持つ必要性を感じない人が出てきたのです。

iPhoneでは「 ポートレート機能 」を使用するとプロが一眼レフカメラで撮影したような写真を撮ることができますし、写真の編集もスマートフォン上で完結してしまいます。

もはや2020年現在、スマートフォンは人々にとって「 携帯と高機能カメラ 」になるまで進化を遂げたということです。イメージできましたでしょうか。

私たち企業が市場内で成長するためには、①クラウド②モビリティ③ビッグデータ・アナリティクス④ソーシャル技術を用いたビジネスモデルの変革、新しい商品やサービスの開発に迫られている状況だということが分かります。

DXが推進される3つの理由

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デジタルトランスフォーメーションが推進される理由は、主に3つあります。

理由① 老朽化システムを運用し続けることは企業の成長を妨げる

長年使い慣れているものだったとしても、自社の中で情報システムを保有して運用することは、メンテナンスはもちろん、機能拡張なども必要となり大きなコストがかかります。

IT環境が急激に移り変わっているにも関わらず、いつまでもそうしたシステムを利用していると、ランニングコスト面だけでなく時代に合わないスピード感のない企業となってしまいます。

その一方、インターネット経由でセンサーと通信機能を持った「 IoT( Internet of Things:モノのインターネット )」を始めとするデジタル技術やクラウドシステムが普及するなど、コストを抑えたシステム構築が可能になりました。

このような情報環境の面で従来のシステムに変革を起こすことは、今後ますます企業が時代を生き抜いていくのに重要になってきます。

理由② 変化する消費者行動に対応する必要がある

今、消費者の行動は「 モノ 」から「 コト 」へ、そして「 所有 」から「 共有 」へとシフトしています。

この言葉を聞いて、皆さんの中でも思い当たる節がある方もいると思います。

例えば、CDを購入しなくても音楽配信アプリを利用して音楽を聴くことができたり、自動車を所有していなくても、カーシェアリングサービスを利用して車を使えますよね。

このように、商品やサービスの在り方がどんどんシフトしてきていることが分かります。

こうした時代の流れに寄り添うようなサービスを開発、提供するには、自社のビジネスモデル、システムを古いものから新しく改革する必要があることは、少し納得できるのではないでしょうか。

理由③ 新しいデジタル技術が「 新たな価値あるビジネス 」に繋がる

皆さんはデジタル・ディスラプションいう言葉を知っていますか?

ディスラプション( disruption )は「 崩壊 」を意味する英語で、今既にある産業の概念を根底から揺るがし、崩壊させてしまうような革新的なイノベーションをデジタル・ディスラプションと言います。

この5年、10年を振り返るだけでも複数の業界で多くのデジタル・ディスラプションが起こり、人々の生活に変化をもたらしました。

例えば、連絡手段です。

数年前まで連絡を取るのにEメールが当たり前だったにも関わらず、今ではLINEをはじめとするアプリ内でのコミュニケーションが主流になりましたよね。

タクシー業界では、一般の運転手のデータを集約したサイドシェアサービスや、ホテル業界では一般家庭の空き部屋に泊まることができる民泊仲介サイトAirbnb( エアビーアンドビー )がそれぞれ変革をもたらしました。

そして、DXにもデジタル・ディスラプションの要素が含まれていると言えます。

競合他社に勝つためには、企業は既存のビジネスを一度捨て、新しいデジタル技術を取り入れることがポイントです。これが新たな価値を生み出す商品やサービスが誕生するきっかけになるでしょう。

DXを推進する「 第3のプラットフォーム 」とは?

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ここまでで、デジタルトランスフォーメーションの必要性はお分かりいただけたでしょうか。

次に紹介するのは、DXを推進するにあたり重視される「 第3のプラットフォーム 」についてです。

これは、メインフレームとサーバー・クライアント・システムに続く「 第3の情報産業革命 」と言われています。

①クラウド、②モビリティ、③ビッグデータ・アナリティクス、④ソーシャル技術で構成されており、こうした技術をプラットフォームとして新しい商品、サービスを開発することを言います。

それぞれについてもう少し分かりやすく説明しておきます。

クラウド

クラウドとは、インターネットなどのネットワーク経由でユーザーに提供されるサービスのことです。

写真や資料などをインターネットを介して管理できる「 Googleドライブ 」などもその1つです。2006年頃から急速に普及し、今では企業にとってデータを保管・共有するのに欠かせない技術となっています。

モビリティ

モビリティとは、スマートフォンやタブレットなど、世界中で普及している小型携帯用端末のことです。

モビリティは「 mobility 」のことで、動きやすさ、可動性などを意味する英語です。

ビッグデータ・アナリティクス

ビッグデータ・アナリティクスとは、膨大なデータを徹底的に調査し、相関関係やパターン、その他の洞察を明らかにするもので、データ分析に関する専門的な知識や技術がなくても、企業が必要とする様々なデータを導き出せます。

アクセス解析などを行う「 Googleアナリティクス 」などを見たことがある方はイメージしやすいと思います。

ソーシャル技術

人々の生活の中心にあり、世界中で数十億人ものユーザーが使用しているSNS。今や、SNSは企業とユーザーの関係を深めるためのツールとしても活躍するビジネスプラットフォームになっています。

以上4つのプラットフォームについて、どのようなものか想像できましたでしょうか。

これらをビジネスに取り入れ、デジタルと二人三脚になるような企業体制を取ることが、企業に改革をもたらすカギだということが分かります。

DX推進における5つの課題

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ここまで最もらしいことをお伝えしてきましたが、実際、日本でDXの取り組みが円滑に進んでいるとは決して言えません。何が原因で、このような状況を生んでいるのでしょうか。

ここでは、DXを推進するにあたり想定される課題についてお話します。

課題① DXの適切な目的・目標設定が難しい

デジタル技術を活用することの重要さは、多くの経営者がもちろん理解しています。

問題は、実際にどうしたら良いかが分からないことです。

DXは概念も広く個人によって認識が異なるため、「 この手順でこうすれば良い! 」というような特効薬はありません。

そうなると当然DXに取り組む目的や目標が定まりませんし、上手く機能させることも難しいです。

そうならないためにも、「 DXを通じてどうなりたいのか 」「 DXを通じて何を達成したいのか 」を社内で議論し、経営者をはじめとする経営層自らがDXのビジョンを持つことから始めましょう。

課題② DXを現場で推し進めるIT人材の不足

目標設定ができたとしても、実際にDXを推し進めていくとなれば、優秀なIT人材が企業内にいるかどうかが重要になります。

しかし、日本だけでなく世界で見てもエンジニアは不足しており、優秀なIT人材を確保することは簡単ではありません。

それだけでなく、生産年齢人口の減少からエンジニア人口の減少は目に見えており、経産省の調査では、2030年にはエンジニア人口が50万人以上の人材不足が生じる恐れがあると見込まれています。

優秀な人材を確保するために、若くても能力があれば高い給料をもらうことができる給与システムを取り入れているベンチャー企業も増えてきました。

これはつまり、DXのために必要な人材を確保するには、採用・教育面も構築し直さなければいけないと言えます。

課題③ 企業の前向きなIT投資が少ない

日本では、IT関連費用の内、およそ8割が既にあるビジネスの維持・運営に充てられていることから、新しい前向きなIT投資を行う企業が少ないと言われています。

2017年に電子情報技術産業協会が発表した「2017年 国内企業の「IT経営」に関する調査結果」によれば、企業におけるIT投資の重要性において、 IT投資が極めて重要 」と考える国内企業は、2013年の調査では16%であったのに対し、2017年の調査では約1.6倍の26%へ増加したようです。

とはいえ、2013年実施時に「 IT投資が極めて重要」と回答した米国企業は既に75%だったことから、日本とアメリカにおける意識の差は歴然としています。

また、日本はIT予算の多くを業務効率化・コスト削減に利用しているのに対し、アメリカはITによる製品・サービスの開発に利用しているという結果も出ています。

日本は「 守りのIT投資 」、アメリカは「 攻めのIT投資 」を行う傾向があるということです。

このような日本の風潮からも、ビジネスの変革に新たなコストをかけたり、人材を割り当てることはまだまだ困難だと考えれられます。

課題④ 費用対効果がなくても努力し続ける必要がある

DXに取り組みで何かしらの成果を出すには、かなりの期間努力し続ける必要があります。そこで、DXの費用対効果が問題として挙げられます。

というのも、DXを推し進めて行くにあたり専門の部署を立ち上げたり、イノベーションへの投資をすることになると思うのですが、収益を出すまでにはある程度の期間が必要になります。

費用対効果で考えると、我慢できなかったり、壁にぶつかったりしてしまうと、取り組み自体がストップしてしまう可能性もあります。

課題⑤ 既存のシステムが複雑化しすぎて連携できない

特に大企業などでは、既存の社内システムが複雑化しすぎてしまっていて、DXしようにもデータの活用や連携が難しいケースが結構あります。

さらに、部門ごとに個別で最適化したシステムを利用している企業もあると思います。そうなると、全体システムの最適化はさらに困難です。

そんな状況で新しい技術を採用すれば、カスタマイズが積み重なって、より複雑なシステムと変化してしまいます。

そのため、DXする際には業務プロセスを見直すだけでなく、新たなシステムへ移行することが必要になります。

中でも、操作方法がしっかりと引き継がれていないようなブラックボックス化したシステムは、システム障害が発生した場合などに迅速な対応ができないため、特に問題です。

また、複雑化しているためシステムの対応にコストがかかる場合も多く、運用をし続ける限りそのリスクとコストはつきまといます。

DXの課題に対し企業が取るべき対応とは?

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上記トピックで、デジタルトランスフォーメーションを行う際の5つの課題が明らかになりました。

では、企業は具体的にどのような対応を取れば良いのでしょうか。ここでは、DXを実現するための3つの対応策をご紹介します。

DX実現方法① 企業のビジネス戦略ごと立て直す

企業が思い描くDXを実現するために、まずは「 デジタル技術を活用することで、ビジネスをどのように変革していきたいか 」を決めます。

当たり前と言えば当たり前ですが、ビジョンが不明確では話が進みません。

また、それぞれの企業には、既存のシステムや既存の技術がありますので、DXの優先順位を見極めることも大切です。

経営層でビジネス戦略を見直し、刷新すべきシステムを把握した上で戦略を立てることができればDXの実現に一歩近づくことができます。

DX実現方法② 基盤のシステムをクラウド化・モバイル化する

DXを実現するには膨大なデータが必要になるため、老朽化したシステムではデータ収集に限界があります。

ビジネス戦略を立てたら、まずは情報環境・コスト面でクラウド化を実施しましょう。

クラウドサービスをシステム基盤にできれば、拡張性や柔軟性が高まるだけでなく、初期投資だけでなくランニングコストも抑えることができます。

また、システムのクラウド化と一緒にモバイル化するのもおすすめです。

これまでのITシステムは、パソコンで利用することを前提に構築されてきましたが、昨今のモバイル機器はPCと比べてもまったく引けを取らないため、スマートフォンやiPadでシステムを利用する企業も増えてきています。

「 新しいシステムは覚えるのが難しいし、使い慣れたものが良い・・・ 」というような声も社内で出てくるかとは思いますが、そのような保守的な意見を気にしていては、いつまで経っても企業は成長することはできません。

DXを実現するため、クラウド化、モバイル化は必須だと考えましょう。

DX実現方法③ デスクワークを効率化する「 RPA 」を取り入れる

社内の生産性を向上させるシステムに「 RPA( Robotic Process Automation ) 」と呼ばれるものがあります。

RPAがどのようなものか簡単に説明すると、事務系の職種につく社員が行うパソコン操作をソフトウェアのロボットに記録させ、デスクワークを効率化・自動化するものです。

例えば、人事給与や経費精算などのシーンで役立ちます。

社員が交通費精算をする際に、PRAが申請しているルートが最短のものか、金額が正しいかをチェックし、一致していれば承認処理を、不一致であれば差し戻し処理までを登録したシナリオに沿って自動で行います。

人材も無限ではありませんし、経費計算のようにルールが決まった単純業務を自動化できるのであれば、使わない手はないですよね。

RPAの強みは、そのスピードと正確性です。

これらの作業を実際に人間の手で行うとなると、数倍時間はかかりますし、間違いも起こります。それに加え、自力でデータの収集や分析までを行うのは限界があります。

そこで企業がAIを活用し、AIが企業の業務ルールを学習することで社内の業務効率化に繋がり、サービスやビジネスモデルの変革に力を注げるようになると思います。

ただし、RPAはAIとは全くの別物です。

自動で作業を行うことはできるものの、「 AIが判断し、RPAで実行 」ということは現状ではできないので、AIを業務に取り入れることはまだ不可能に近いです。

とはいえ、高速・大容量に加えて、多接続、低遅延も実現する通信技術「 5G 」が、このあたりの技術性能を向上させる可能性はゼロではありません。

課題としてお伝えした「 老朽化・複雑化したシステム 」では絶対に適応することはできませんので、早い段階でDXに対応しておくことをおすすめします。

【 DX促進のポイント 】まずはスモールスタートからでOK

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ここまで本記事を読んでいただいた方は、DXにおける大きな課題と、企業が取るべき対応について理解していただけたかと思いますが、DXの実現が決して容易な道のりではないことも実感されたのではないでしょうか。

ですが安心してください。初めから「 業務のすべてにITシステムを導入してDXを実現するぞ!」とまで意気込まなくて大丈夫です。

まずは業務過程を見直し、「 ITシステム・ITツールに任せられる業務 」「 マンパワーに任せるべき業務 」を適切に判断することから始めましょう。そして、

・ITの活用で業務プロセスの変革を試みる
・エンジニアに依存しないITツールを活用する

というDXを日本国内の企業ではまず進めてみていただきたいです。

業務がIT人材やシステム部門頼みになってしまうツールは避けて、専門知識がなくても広い業務範囲で活用できるクラウドサービスや、ITツールを活用してみてください。

そうすることで、今後心配されるエンジニアの不足状態に陥ったとしても問題なく運用を継続することができますし、専門部門に頼らなくとも誰もが運用できるツールであれば、社内で迅速な対応が取れるため日々の生産性、顧客満足度も向上するでしょう。

これからは「 システムがこういうものだから 」という理由で業務プロセスをシステムに合わせるのではなく、「 ITを活用して、業務プロセス自体を変革しよう 」という気持ちを持てるかどうかが重要になります。

【まとめ】DXの課題と解決策

いかがでしたでしょうか。今回は、DXを推奨する理由、DX推進における課題、企業が取るべき対応を中心に、初心者でも分かりやすいようにまとめてみました。最後におさらいしたいと思います。

デジタルトランスフォーメーションの課題は5つありました。

  • DXの適切な目的・目標設定が難しい
  • DXを現場で推し進めるIT人材の不足
  • 企業の前向きなIT投資が少ない
  • 費用対効果がなくても努力し続ける必要がある
  • 既存のシステムが複雑化しすぎて連携できない

そしてこれらの課題をうけて、企業が取るべき対応として3つの方法を紹介しました。

  • 企業のビジネス戦略ごと立て直す
  • 基盤のシステムをクラウド化・モバイル化する
  • デスクワークを効率化する「 RPA 」を取り入れる

数年前から企業におけるIT投資の重要性は語られてはいますが、日本はまだまだ守りの投資を行う傾向が強く、老朽化・複雑化したシステムが残っています。そして、その既存システムの運用に大きなコストが割かれています。

しかし、だからといって今後のビジョンも立てれていない状態で焦ってITツールを導入しても、少し便利になることはあっても、長期的な目で見てDXとしての効果は薄いです。

DXを実現する第一歩として、まずはITツールに任せる業務と、マンパワーに任せる業務を振り分けてみることからスタートしましょう。

現場視点で業務を見直し、業務プロセスの変革に取り組むことで、将来エンジニア不足時代が訪れたとしても、問題なく運用を継続できる企業に生まれ変わるはずです。

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