DX

本当に企業はDXで変革している?成功のポイントや事例を10社紹介

近年、日本でもデジタルトランスフォーメーション( DX:デジタル技術を使った変革またはイノベーション )に取り組む企業が増え、その成果も少しずつ目に見えるようになってきていると感じます。

企業にとってDXが必要な理由は、これからますます勢いを増すIT時代を生き抜くためです。私たちは現代に即したシステムやサービスを展開することで新たな価値を生み出し、競争上の優位性を獲得していかなければなりません。

しかし、企業がどのようなことを成し得れば「 DXは成功した 」と言えるのでしょうか。

実際に、「 今社内で実施している施策はDXに結びつくのか? 」疑問を抱いている方も少なくないと思います。

本記事では、国内企業におけるDXの捉え方、取り組み事例、そこから分かった成功のためのポイントまで徹底解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

デジタルトランスフォーメーション( DX )とは

デジタルトランスフォーメーション( DX )とは、デジタル化が進む環境に対応することを目的に企業が行う組織全体のビジネス変革のことです。

これは経済活動だけに留まらず、社風や文化、制度など組織全体で変革を進め、「 企業そのものを変化させる 」ということを目指します。

「 AIなどのデジタル技術を活用し、商品や業務、ビジネスモデルに変革を起こして競合との競争に勝てるようにすること 」

と噛み砕いて言えばより分かりやすいかもしれませんね。DXについて詳しく知っておきたいという方は別の記事をご覧ください。

近年日本でもDXが重要視されるようになった理由

今、デジタルトランスフォーメーション( DX )は世界規模で推進されています。また、経済産業省より「 DX推進指標 」が発表されるなど、日本においても近年ますます重要視されている風潮があります。

しかし、まだまだ日本は世界と比べると、DXに着手しビジネスや組織を変革できたと言える企業が少ないです。
ではなぜ、すでに世界で広く注目されていたDXが、日本でも徐々に推進されるようになったのでしょう。

これには3つの理由があります。

理由① 消費行動の変化

1つ目の理由は、消費活動の変化です。今、消費者の行動は「 モノ 」から「 コト 」へ、そして「 所有 」から「 共有 」へとシフトしています。

例えば、CDの代わりに音楽配信アプリを利用して音楽を聴いたり、車を持っていなくても、カーシェアリングサービスで自分の必要な時に車を借りることも今では当たり前になりました。

また、カーシェアやフリマアプリなどでは、相手と直接メッセージなどでやり取りをする必要性がありますよね。こうした「 共有者とのコミュニケーション 」も重視されているように感じます。

このように、商品やサービスの在り方は時代と共に移り変わっているため、消費活動の変化に即したビジネスモデルに対応するためにもDXは必要不可欠だと言えます。

理由② 老朽化したシステムの限界

2つ目は、既存のレガシーシステムに限界が訪れつつあるということです。レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されているシステムを指す用語です。

既存のシステムは利用しやすいというメリットがあるかもしれませんが、自社の中で情報システムを保有して運用することは、メンテナンスはもちろん、機能拡張なども必要となり最終的に大きなコストがかかります。

その一方、インターネット経由でセンサーと通信機能を持った「 IoT( Internet of Things:モノのインターネット )」を始めとするデジタル技術や、Googleのサービスなどのクラウドシステムが普及するなど、コストを抑えたシステム構築が可能になりました。

データを共有・管理するのにもクラウドシステムはとても役に立つという部分でも、DXが注目されています。

理由③ デジタル変革によって崩れた既存のビジネス

昨今、デジタル化による従来のビジネスモデルの破壊( ディスラプション )はあらゆる業界で起こっています。例えば、ホテル業界では一般家庭の空き部屋に泊まることができる民泊仲介サイトAirbnb( エアビーアンドビー )がそれにあたります。

他にも、タクシー業界では、Uberが一般の運転手のデータを集約してサイドシェアサービスを展開し、それぞれ変革をもたらしました。

この5年、10年でデジタル変革によって既存のビジネスモデルは崩れてきています。

今後、これまでにないビジネスモデルやサービスを持つ新規参入者が現れ続けるため、何も対応しなければ自社の価値が一気に下がってしまうことになります。

日本企業におけるDX推進の実態【2020年度最新情報】

実際DXに取り組んでいる企業は60%以上?

株式会社電通デジタルの『 日本企業のデジタルトランスフォーメーション調査2020年版 』によると、DXに着手しているのは日本企業の74%がDXに着手しており、昨年比で+4%の拡大となったことが発表されています。

では、この調査で「 DX推進に取り組んでいる 」と回答した企業は、一体どんなことを実施したのでしょうか?調査結果をもとに紐解いていきたいと思います。

分かったこと1:その中でも「 DXが完了済み 」な企業は1割程度だった

調査した企業規模も様々で、小さい会社のほうが変革しやすいとも考えられますし、DXをどのように定義するかも企業によって違うと考えられますが、調査結果を見て見ると、「 DXが完了済み 」という回答は1割程度でした。

そして、約半数の企業で「 DXで成果が出ている 」と回答しています。

画像出典元:日本企業のDXはコロナ禍で加速するも推進の障壁はDX人材の育成

分かったこと2:業務プロセスやシステムの最新化だけでなく、ビジネスの変革へも注力

ちなみに2019年度の調査結果では、「 DXの計画・取り組み領域 」のところを見ると

・業務プロセスやシステムの最新化 24%
・製品サービスや業務へのテクノロジーの適用 22%
・IT基盤の構築やソリューションの導入 21%

と、これらに取り組んでいる企業が多いことが分かっていました。
また、下記に力を入れ始めた企業も増えた一年でした。

・データ活用推進のための戦略策定
・デジタル戦略に即した組織の開発・再編成
・デジタルスキルを向上させるための人材開発・採用

画像出典元:「70%が着手」と本格化進む日本企業のDX成果創出のカギは経営トップのコミットメント

分かったこと3:自社内で育成を担える人材がいないことがDXにおける1番の課題?

DXを進めるにあたり大きな障害となるのが、スキルや人材の不足です。具体的には

・自社内で育成を担える人材が乏しい
・既存事業が忙しく、十分な協力体制を敷くことができない
・自社で育成するための教育プログラムや教育機会が乏しい

の3つが原因として上位に上がっていました。

関連記事:DXで求められる人材のスキルとその職種

画像出典元:日本企業のDXはコロナ禍で加速するも推進の障壁はDX人材の育成

DXを担える社員を自社内で育成するという課題は、多くの企業が抱えているということが分かりますね。

調査結果から分かったことまとめ

DXを完全にやりきった!という企業は1割にも満たない結果でしたが、7割以上の企業が一部、または複数の領域で取り組みを始めていることが分かりました。

冒頭では、AIなどのデジタル技術を活用し、商品や業務、ビジネスモデルに変革を起こして、最終的には競合との競争に勝てる状態にすることがDXであると説明しましたよね。

確かにその通りなのですが、DXを実現するための前段階として、調査結果にもあった業務プロセスやシステムの見直し、 商品やサービス、業務にテクノロジーを導入することは重要になります。

国内企業で流行しているDX3つの取り組み

dx

先ほど、直接DXの成功に紐づくわけではありませんが、業務プロセスやシステムの見直しなどは大きなポイントになるとお伝えしました。
皆さんにも、今多くの企業で実施しているDX実現に向けた取り組みをご紹介します。

方法① 既存業務を効率化・自動化する

まず、取り組み内容の中でも最も多いのが「 既存業務の効率化と自動化 」です。これは企業の生産性や業務精度を向上することができるので、DXどうこう以前にぜひ取り組んでいただきたいです。

例えば、ITツールを活用してデジタル技術を業務に組み込むと、以下のようなメリットが生まれます。

・作業工数の削減 / 効率化に繋がる
・人的ミスがなくなり、正確性が向上する
・24時間365日継続して作業 / 顧客対応ができる

近頃ではRPA( Robotic Process Automation )を導入し、Excelの集計処理を自動化したり、交通費の経費申請があった場合は、AIが代わりにネットで最短ルートの価格と照らし合わせて承認するなど、定常業務を自動化している企業も増えています。

特に経費精算や人事労務管理などのデスクワークはITツールを利用して自動化するのに相性が良く、先ほどの調査でこれらの取り組みをDXと回答した企業も少なくないと思います。

このような既存業務の効率化やシステムの置き換えは、業務内容そのものが大きく変わるものではないため、DXの第一歩としてもおすすめです。

どのくらいの効果があるかなどは事例として後述しますが、失敗に終わるリスクもほとんどないという理由からも、20年以上前から企業の「 IT投資 」において人気があります。

方法② データを利活用する

データの活用はビジネスの成長、生き残りのために非常に重要で、今や全ての業界がその意識を持っています。というのも、これまでの顧客データを元に次の販売戦略を考えたり、すでにある商品やサービスの改善に努めることが可能になるためです。

この他に、業務上などでもブラウザ上のデータが必要になるシーンは数多くあります。そのため、日々生成される膨大なデータを社内で効果的に活用することを目的に、散在しているデータの統合化、一元管理に取り組む企業も多いです。

また、データの管理や共有には、クラウドが便利です。クラウドとは、インターネットなどのネットワーク経由でユーザーに提供されるサービスのことです。

「 Googleドライブ 」などもその1つで、写真や資料などをインターネットを介して管理することができ、社内で共有することも可能になるため大変便利です。今では企業にとってデータを保管・共有するのに欠かせない技術となっています。

方法③ 現行システムの稼働環境を変える

3つ目は、現行システムの再構築( モダナイゼーション )です。先ほど、DXが必要な理由として老朽化したシステムの問題点についてお伝えしました。

20年前から考えても、既存システムにIT予算のほとんどを消費し、保守運用のコストが高額になっている企業がまだまだあります。

そして、レガシーシステムをそのままにしておくと、外部のシステムと接続したり、新機能を追加するのが困難になるため、今後ビジネスにも影響が及びかねます。

モダナイゼーションはすべてを作り直す場合にも使う言葉ですが、ここでは、新しい業務機能を加えるのではなく、システムの稼働環境をクラウドに変更したり、新しいシステムを動かせる環境を整備することを指しています。

目的は、今後の新しいシステムの立ち上げ時や、連携する場合に迅速に対応できる状態にしておくためです。言い換えれば、「 DXに必要な準備 」ですね。

関連記事:DXに必要な技術や進め方を解説

手段を目的化しない ~「 DX成功 」の定義とは?~

働き方改革プロジェクトの一環として「 労働時間の短縮 」を掲げている企業もありますが、いつの間にか「 定時に退社する 」こと自体が目的となってしまっているケースも少なくないではないでしょうか。

もし業務が出勤時間内に終わらず、社員が退社後に家で作業しているのであれば、実質労働時間は削減できていないことになりますよね。

このような状況は、手段を目的化してしまっていると言えます。

定時に退社することがそもそもの目的ではありません。労働時間を削減できなければ意味がありません。

では、DXに置き換えて考えてみましょう。
企業の観念として、DX推進の目的と手段は次のように整理できます。

目的:商品や業務、ビジネスモデルに変革を起こして競合との競争に勝てるようにすること
手段:そのためにデジタルとデータを活用し、それを組織・業務で可能にする

デジタルの活用は、あくまで「 手段 」です。

そして、それを活用して新しい組織・業務を作るのもまた「 手段 」です。

ここで改めて、先ほど述べた既存業務の効率化やデータを活用すること自体が、ビジネスモデルを変更し、UberやAirbnbなどの斬新なサービスを生むということを分かっていただけたかと思います。

それでは、DXの目的「 商品や業務、ビジネスモデルに変革を起こして競合との競争に勝てるようにする 」をより実現に近づけるには、どうすれば良いのでしょうか。

DXに成功している企業を分析し、その中で共通している「 5つの特徴 」を紹介したいと思います。

DX化に成功している企業に共通する「5つの特徴」

どうしても、DXを推進しようと考える経営者と現場の意識に乖離が生じてしまい、なかなか進展させることができないケースも多くあります。

では、DXに成功している企業にはどんな共通の特徴があるのでしょうか。マッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査によると、5つの共通点があることが分かります。

  1. デジタルに精通したリーダーを配置している
  2. 将来の労働力の変化を見据え、組織全体の能力を構築している
  3. 社員にとって新しい働き方を導入し、生産性を上げている
  4. 社内にデジタルツールを導入し、日々アップグレードし続けている
  5. リーダーはデジタル通信で社員と良好なコミュニケーションを取り、変化のストーリーを伝えている

繰り返しになりますが、企業でDXを成功させる流れは以下のようになります。

各領域の業務をデジタル化 → 組織を変革 → 新しいビジネスモデルへ

このステップを駆け上がっていくには、相当な時間がかかります。そこで企業に求められることは、長期的な視線で、意思決定を的確かつ迅速に行うことだと思います。

データを上手く活用しながら既存ビジネスの変革に力を入れ、新規事業を立ち上げる。このようにして競争力を高めていくことがポイントになります。

「 ポストデジタル時代 」のDXに必要なこと

もちろんあらゆる業界、企業にはDXに取り組んでいただきたいのですが、昨今、世界的に多くの企業がデジタル化を進めてきた結果、すでに日常生活にもデジタルが浸透しつつあります。

すでにDXをすることが当たり前になりつつあり、見方によってはビジネスにおいて他社と差別化が難しくなっている状況だと言えます。このような世界のことを「 ポストデジタル時代 」と呼びます。

ポストデジタル時代でDXを進めるにあたり、先ほどの5つの特徴とあわせて以下の3つもぜひ覚えておいてください。

  1. 自社で「 できること 」ではなく、「 やるべきこと 」を考える
  2. 自社の「 存在意義 」と「 顧客に提供できる価値 」を明確にしておく
  3. 目標を実現するためにSMAC( ソーシャルサービス・モバイル・アナリティクス・クラウド )を使いこなす

「 DX銘柄 」35社と「 DX注目企業 」21社を発表(2020年度)

dx

2020年8月25日、経済産業省は東京証券取引所と共同で「 デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し、「 DX銘柄2020 」に選定された企業35社と「 DX注目企業2020 」21社を発表しています。

「 DX銘柄 」とは?

「 DX銘柄 」とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、DXを推進するための仕組みを社内に構築し、デジタル活用の優れた実績がある企業を選んで紹介するものです。

ここで選定対象に選ばれているのは、単にITツールを導入したりデータの活用を行っているなど、いわゆる「 DXの準備 」をしている企業ではなく、「 デジタル技術を前提としたビジネスモデルの変革や経営の変革 」にガッツリ取り組んでいる企業です。

以下の6つの項目と財務指標をスコアリングし、評価委員会の最終選考を経て最終的に35社が選ばれました。

  • ビジョン / ビジネスモデル
  • 戦略
  • 組織 / 制度
  • デジタル技術の活用 / 情報システム
  • 成果と重要な成果指標の共有
  • ガバナンス

「 DX銘柄2020 」に選ばれた企業

選定された企業は、アサヒグループホールディングス、日清食品ホールディングス、富士フイルムホールディングス、などでした。

印象として、やはり私たちも一度は耳にしたことがあるような大企業が多いですね。

そして、この中で特にデジタル時代を先導していると評価された小松製作所、トラスコ中山の2社は「 DXグランプリ2020 」を獲得しました。

DX銘柄2020一覧(35社、業種・証券コード順)

画像出典元:「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を選定しました

「 DX注目企業2020 」に選ばれた企業

また、評価の結果惜しくもDX銘柄に選定されなかった企業の中から、総合的評価が高かった企業、注目されるべき取組を実施している企業21社については「 DX注目企業 」として発表されました。

選ばれたのは、サッポロホールディングス、三菱ケミカルホールディングス、花王、などでした。

こちらも先ほどと同じく、大企業が多いです。

DX注目企業2020一覧(21社、業種・証券コード順)

画像出典元:「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を選定しました

関連記事:DX銘柄|経済産業省が選出するポイントと注目企業

DX推進を成功させた10の企業事例

次に、実際にDXに取り組んだ結果、新しい事業を生み出すことに成功した企業や、業務効率化を達成した10の例を紹介します。

【 商品・サービス部門 】
ここで紹介する企業は、デジタル化という手段を利用して、商品や業務、ビジネスモデルに変革を起こし、競争優位を獲得することに成功したといえます。それでは見ていきましょう。

金融業界の成功事例:AIでユーザーの信用情報をスコアリング(2018年)

画像出典元:LINEスコア/LINEポケットマネー 公式ブログ

2018年、メッセージアプリを手掛けるLINEが「 LINE Score 」の提供をスタートしました。例えば、クレジットカードを新しく作ったりローンの申し込みする際に、個人の「 信用情報 」が参照されますよね。

このサービスでは、LINEPayやLINEでのやり取り、LINEニュースの閲覧履歴などを評価要素として「 信用スコア 」を算出します。

信用スコアという概念が誕生したことによって、これまでどのように定義すれば良いか曖昧であった個人の信用情報を客観的かつ公平に評価できるようになりました。

この「 LINE Score 」は、LINE上でのさまざまな支払いや個人への融資サービス、Fintechサービスに利用されています。

物流業界の成功事例:ドローンで荷物の輸送を実施(2020年)

画像出典元:郵便局 | 日本郵便株式会社

あのAmazonでも実証実験が行われている、物流産業でのドローン( 自立型無人航空機 )導入。2018年には、日本郵便が日本で初めてドローンによる荷物の輸送をスタートすると発表しました。

これが実用化されると、機体に配送用のボックスを装着したドローンが、離島や山間部など「 陸路の輸送が困難な目的地 」への配送もスムーズに行うことができるようになります。

特に、注目されているのが、緊急時の輸血用の血液など、速やかな配送が求められるシーンでの実用です。

日本郵便は2020年に奥多摩郵便局の配達区で3日間の配送試験を実施し、これまで配送に20分要した標高の高い山間部まで、10分ほどで安全に配送することができたようです。

また、配達員不足が懸念されている地方などでも、その問題を解消する新たなソリューションとして期待されています。

教育業界の成功事例:どこでもいつでも上質な授業を受講可能に(2015年)

画像出典元:中学生・高校生向け映像授業サービス「Try IT」

2015年、家庭教師のトライはパソコンやタブレット、またはスマートフォンを使用し、時間や場所に囚われることなく学習できる映像授業サービス「 Try IT 」を作り上げました。

これまでの課題として、生徒の学習スピードに違いがあったり、生活スタイルの多様化もあり家庭教師が実際に授業をするというだけでは難しいことが挙げれられていました。そこで開発されたのが「 Try IT 」です。

特徴は、30年にわたり蓄積されたノウハウを活かした4000本という膨大な映像授業の配信や、スマホをシェイクすることによって教師に直接質問ができる仕組みです。

オンライン上でありながら、生徒の疑問をその場で解決することも可能です。リリース後、登録者数は100万人を突破し、さらには塾でのサポートツールとしても利用されています。

音楽業界の成功事例:月額定額制のサービスで新しい価値を提供(2016年)

画像出典元:Spotify公式HP

Spotifyは、月額定額制で約5,000万曲がスマホやタブレット、ゲーム機など様々なデバイスで聴き放題になるサービス「 Spotify 」を開発しました。

これまで、音楽といえばCDの購入やレンタルが主流であり、インターネット経由で音楽を聴くという文化はありませんでした。しかしSpotifyは2016年に「 月額定額制の音楽サービス 」をスタートさせ、私たちの音楽との関わりに大きな変革を起こしました。

これをきっかけに多くのレコード会社がサービスに加わり、定額サービスの分配金から収益を得る収益モデルに変化しています。

月額料金さえ支払えばユーザーはコストを気にせずに多くの楽曲を視聴できることや、ユーザー間でのプレイリストの共有なども可能になったため、より音楽が身近になり、新たな音楽に出会う機会も増えたと思います。

今では月間で2億人を超すアクティブユーザー数を誇るだけでなく、その半分は有料プランを利用しているという実績からも、多くの人々にとってなくてはならないサービスを作り上げたのではないでしょうか。

化粧品業界の成功事例:専用アプリで個人に適切なスキンケアを体験(2019年)

画像出典元:資生堂「Optune」公式HP

化粧品などで有名な資生堂は、個人に適切なスキンケアを施せるシステム「 Optune(オプチューン)」を開発しました。「 Optune(オプチューン)」は、ユーザーの肌データに基づき、個々に合わせたスキンケアを提案することができるのが特徴です。

方法としてはまず、スマートフォンの専用アプリで肌状態を測定します。そうすると、専用のマシンがあなたにぴったりの肌ケア方法を選択し、実際にそのスキンケアを受けることができます。

また、このサービスによって化粧品を月額課金制で販売するという新しい利益体系を作り出しました。

当初は、サイズが大きすぎることから、利便性の低さやコストが課題とされていましたが、業務においてもDXを推し進め、社内に散財している技術・ノウハウを集めることで、商品サイズをコンパクトにすることができたとされています。※現在はサービス終了

フリマアプリ業界の成功事例:スマホ完結型で複数の付加価値を提供(2013年)

画像出典元:メルカリ公式HP

「 メルカリ 」は月間利用者数1500万人、累計出品数15億品を超える日本最大級のフリマアプリです。

これまでパソコンで行うことが当たり前だったネットオークションサービス( CtoC )を、ユーザーの環境・消費行動の変化に合わせて「 スマホ完結型サービス 」として登場したことで広く受け入れられました。

メルカリの特徴は、スマホさえあれば簡単に出品、購入ができるところです。

管理しているユーザーのデータを上手くビジネスに活用し、互いの氏名や住所を公開しない状態で商品を発送・受け取りできる「 匿名配送 」や、あて名書きせずに発送できる「 らくらくメルカリ便 」などのサービスもスタートさせました。

他にも、「 メルペイ 」はPayPayやLINEpayなどと同様のスマホ決済サービスで、メルカリでの販売で得た収入を生活費やオフラインでの買い物にあてることもできます。

国内における既存ビジネスとは異なる付加価値をユーザーに提供し、成功した代表例だと言えます。

製造業界の成功事例:自動見積もり・発注で納期を2週間以上短縮(2016年)

画像出典:meviy(メヴィー)公式HP

製造業における部品調達のデジタル革命を起こしたのが、ミスミグループの開発したmeviy( メヴィー )です。

「 meviy 」は見積もりや発注をAIによって自動的に行い、顧客にアップロードされた設計データから加工プログラムを自動生成するという画期的なサービスです。

現在利用者数は50,000ユーザー以上で、リピート率も8割超え。その人気ぶりから、オンライン製造コマースNo.1も獲得しています。

これまで顧客企業が求める部品の中で短い納期で提供できる部品というのは半分ほどしかありませんでした。

それ以外は設計図面を作り、見積もりを加工業者に依頼して、発注する・・・・という作業が必要で、部品が顧客の手元に届くまでに約3週間もの時間が必要だったことが課題でした。

しかし「 meviy 」を導入することで、3Dデータをもとに自動で見積もり・発注が可能になったため、顧客に届けるまでの期間を2週間以上も短縮できるようになりました。

成功のポイントは、米国やインドなど各国を周り、価格見積もりや3Dデータ表示などの技術を外部から取り入れ、ノウハウを蓄積したことだと言えます。

【業務変革部門】
次に、DXを推し進めることで業務の効率化、人件費などのコストカットに繋がった事例を紹介します。

物流業界の成功事例:3倍速での入力作業を実現(2018年)

物流事業を広く手掛ける株式会社学研ロジスティクスは、これまで申込書や引き落とし用紙を紙で取り扱っていました。特に繁忙期になると数万枚もの入力書類が発生したため、その入力作業をするだけの人材を20名ほど雇用し、多くの人件費がかかっていました。

しかしその後、「 だれでも、かんたん、高精度。あらゆる書類をすぐにデータ化。シェアNo.1の体験をどうぞ。」というキャッチコピーを掲げる手書き文字の読み取りサービス「 DX Suite 」とRPAを連携し、紙の申込書などを自動的に読み取るシステムを作りました。

これにより、当時1人あたり8時間ほどかかっていた業務を、4分の1以下の1~2時間まで短縮することができたため、業務効率が格段にUPした成功事例と言えるでしょう。

通信キャリア業界の成功事例:月200時間の業務削減に成功(2019年)

携帯電話大手キャリアのソフトバンク株式会社では、コールセンターの業務効率化を実現しました。これまでソフトバンクには警察署から毎月6,000件ほど「 携帯電話の落とし物通知依頼書 」が届いており、その転記業務に時間がかかっていたことが課題でした。

オペレーター10名体制で入力作業をしても終わらず、その結果、本来メインとなるコールセンター業務への支障が出ていました。

そこで、当時すでに導入していた「 WinAxor 」と、先ほど株式会社学研ロジスティクスの事例でも紹介したAI-OCRサービスの「 DX Suite 」を導入し連携させました。

個人情報を扱うため、さらにRPAで専用システムに入れてセキュリティを守りつつ、業務の自動化を実現させました。

以前オペレーター10人体制で行っていた作業も、導入後は1人で完結できるようになり、およそ月200時間の入力業務削減に成功し、コールセンター業務にも注力できるようになりました。

金融業界の成功事例:お客様の声を「 見える化 」(2019年)

三大メガバンクの一角を占める三井住友銀行では、これまでに銀行に寄せられた年間3万5,000件を超える利用者からの意見を活用するため、AIのテキスト認識で分類できるシステムを構築しました。

これまで、それらの声を分析する際、人力でまとめ上げるには多くの時間と人件費がかかっていました。また、その膨大な量を人的に処理することさえ困難な状況でした。

そこで三井住友銀行ではNECが独自開発したテキスト含意認識技術を導入し、効率的に高度な分析を可能にしました。

テキスト含意認識技術とは、文章の中にある単語の重要性、文の構造などを考慮した上で、文章の意味を高速・高精度で判定する技術のことです。これにより、利用者からの意見を要約し、分類するところまで自動化できるようになりました。

スピード感がありながら高度な分析ができるようになったため、業務効率化だけでなく、人の目ではそれまで抽出できなかった「 新たな意見 」を見つけることにもつながっています。

日本企業が実施すべきは「 顧客中心主義 」のDX

これまでの日本企業において、デジタル活用はあくまで「 業務の効率化 」と「 コスト削減 」が目的であることがほとんどでした。その事実が、顧客視点で見て他国と比べてDX推進が遅れている1つの理由です。

我々は、社内でその変化に満足して終わるのではなく、ユーザーに新しい価値を届けることをより意識する必要があるのかもしれません。

本記事で紹介した国内のDX事例でも、成功した企業のほとんどが「 顧客中心主義 」だと言えます。

とはいえ、実際に社内でDXを進めていくにあたり、他社の真似をするだけでは上手くいかない可能性があります。それは、会社ごとに形態や状況が異なるので当たり前です。

実はそれぞれの企業に合うDXを推進するには、以下の2つが重要になります。

・DX事例を精査し、成功させた企業の「 共通点 」を探す
・自社が成功するにはどのような課題を乗り越える必要があるかを把握する

最後に、表面上のデジタル化ではなくより本質的なデジタルトランスフォーメーションを目指すためにも、DX推進における成功ポイントを3つ紹介します。

DX推進を成功させるための3つのポイント

dx

DX成功ポイント① 責任者がDXの知識を持ち、経営層・社員にも共有する

上司への配慮との板挟みになったり、現場の責任者から理解が得られないなど、DX化を目指す場合の課題は初期段階にあります。今の働き方や業務内容に不満もないのになぜ茨の道へ進むのか、などというような価値観がDX推進を妨げてしまうのです。

そこで、まずは「 DXを通じて何ができるのか 」を具体的に示し、社内全体を巻き込んでいくことが大切になります。DXの責任者はもちろんですが、社員がDXやITに興味がないという状態も避けるようにしましょう。

最悪DXに関わる部門の社員だけでも、研修やミーティングを通してITに関する知識をつけてください。社内全体でのモチベーションを高めるためにも、社員全員がITに触れる機会を作れると尚良いですね。

DX成功ポイント② 既存システムに足りないものを分析する

既存の社内システムが複雑化しすぎてしまっていたり、ソフトバンク株式会社の事例で紹介したように、個人情報保護の観点から、新しくシステムを導入するのが困難なケースもあります。

そこでまずは「 企業がDXで実現したいこと 」を精査し、開発担当や運用担当と一緒に「 その要望を叶えるには既存システムでは何が足りないのか 」を分析することが大切です。

また、部署別でシステムのアップデートやカスタマイズが行われている場合は、その全容をまとめるところからスタートしましょう。「 既存システムの課題 」を見つけることは、社内全体でDXを進めるにあたり非常に重要になります。

DX成功ポイント③:スムーズな情報共有で現場の不満を取り除く

戦略を練る経営陣とシステムを扱う現場に意識の差があると、混乱を招き現場の不満にも繋がります。情報共有を怠らず、経営陣と現場の意識のすり合わせを頻繁に行うようにしましょう。

というのも、既存システムは部署や部門別でデータが管理されていることが多く、経営陣でこれまでと違う新しいことを全体で取り組もうとすると、各現場のシステム担当者や社員の不安や疑問が吹き上がる可能性も大いにあります。

経営陣の思い描く理想と、実際の現場の状況が必ずしもリンクするとは限りません。DX推進における役割は違えど、DXの成功率を上げるためにもスムーズな情報共有を心がけ、常にコミュニケーションを取りましょう。

関連記事:、最初はDXロードマップから!作り方・ポイント

まとめ

いかがでしたでしょうか?

日本企業のDX進捗度や、2021年時点でどのような取り組みが人気とされているかを知っていただくことができたかと思います。

もし「 自社がどこまでDXを進められているか曖昧・・・ 」「 何から始めればよいか分からない・・・ 」という場合は、経済産業省のサイトへ訪れてみてくださいね。企業のDX度を客観的に6段階に分けて診断することができます。

また自己診断結果を入力すると、中立組織であるIPA( 独立行政法人情報処理推進機構 )から全体データとの比較ができる分析結果を提示してもらうこともできるため、次の段階に進むためのアクションプランを作成できるはずです。

一般的には、取り組みの中で新しい価値を提供する商品・サービスを開発したり、企業のビジネスモデルを変革してはじめて「 DX完了 」と言えます。

しかし、最初から大きな変革に踏み切るのでなく、まずは業務効率化に取り組んでみるなど、部分的にスタートさせることは大切です。ぜひDX化を目指してくださいね。

ご相談無料
中小企業様・飲食店様のDXなら
メールでのお問い合わせ

Facebook

Twitter

LINE

はてなブログ

RSS